大阪の世界一でかい墓

大阪出張にかこつけて、GW初日に大仙古墳仁徳天皇陵)に行って参りました。

大阪旅行というとグルメかUSJなので一人で行っても特にすることないんですよね。難波も梅田も北新地もお初天神日本橋ももう何度も行ったから目新しさもないし。

そこで、本来縄文時代びいきで、色気のない弥生~古墳時代はあまり気合の入らない僕ですが、古代ということで一度は見ておきたい大仙古墳に行ってみることにしました。

これから紹介する古墳は5世紀前後に築造されたものです。初代天皇神武天皇即位の紀元前660年より下ること約1000年、蘇我氏聖徳太子が活躍する飛鳥時代から約100年前の築造物。僕が好きな縄文時代からは最低十数世紀離れてるわけで、つまり土器や土偶と埴輪をいっしょくたにする事はあまりにも雑なわけでフンガイしております。古墳だけに。

 

最近こそ古墳ファンの存在が明らかになってきましたが、陵墓の築造は昔過ぎて基本的に山にしか見えないし、前方後円墳の特徴的な鍵穴形はヘリとかじゃないと見られないので、エンターテインメント性が著しく低い。築造当初はきれいな石葺きがされていたり、無数の埴輪が並べられていていかにも儀式的な雰囲気があったと思われますが、現在は鬱蒼と樹木が生い茂る小山となっていることがほとんどです。

意外にもアレ古墳だったの?という場所も多いですけどね。すでに宅地開発がされていたり、公園の一部だったり、神社になってたり。

 

大仙古墳があるのは大阪府堺市です。西日本のすごいのは、この堺市から東にずずとGoogleマップなどを見ていくとまあ古墳の多いこと。奈良の平城京周辺の古墳まで辿り着いたら、今度はまっすぐ北上して京都まで来る。そうすると京の都の西側にこれまた古墳が並んでる。

大仙古墳の地域にある古墳を百舌鳥(もず)古墳群と総称します。今回はこの古墳群の代表的な古墳を巡りました。

 

1.上石津ミサンザイ古墳履中天皇陵)

生垣のレッドロビン?でしょうか、古墳の新緑とのコントラストがきれいですね。

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古墳の名前ってのがまたややこしいですね。学術的名称(教育委員会などが使用)と、地図等でよく使用される(天皇名)陵/古墳という一般的な呼び名、そして宮内庁が治定する名称の3種類くらいがあったりする。そしてこれらの混合もあってめちゃくちゃ。タイトルは「学術的名称(一般名称)」という風に記載しています。

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石碑には「履中天皇百舌鳥耳原南陵」と彫ってある。「百舌鳥耳原」については後述。

基本的に宮内庁が管理している陵墓は立ち入り禁止かつ歴史調査すら行われていないことがほとんどです。写真で分かるように、鳥居=神様の通り道しか設けられていない。

この陵墓が履中天皇のものだとしているのは宮内庁ですが、履中天皇仁徳天皇の第一皇子であるはずなのに、仁徳天皇陵よりも築造が古いようです。日本書紀の記載も時系列的な矛盾点が多く、この辺りの調査をしっかり始めてしまうと宮内庁が正としている歴史がいろいろ書き換わりそうですね。別にそんなことで国家転覆だなんだという人はほとんどいないでしょうが、なんとなくバツが悪いのか21世紀になっても大規模調査には踏み出してないのが現状です。

 

2.いたすけ古墳

廃墟感あふれる趣深いエントランス

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こっちはいたすけ古墳としか呼ばないのね。さっきの説明はなんだったのか。

ここは非常に自然を感じる古墳でして、秋は紅葉が素晴らしいそうです。今回、なんとタヌキと遭遇しました。

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周囲は濠が掘ってあるわけですから、この古墳の上にひとつの生態系が!

しかしこの壊れた橋はなんなのか・・・橋脚がコンクリート、橋桁は木造支柱にアスファルト舗装というありあわせ感。なぜか解体はされていない。

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ところで古墳というのは住宅地にいきなりあったりする。周辺住民にとっては子供近寄るべからず的な場所であり、水質によっては異臭が発生したり、虫や蚊の発生源でもあるわけで、古墳のある生活というのはどんなものなんでしょうか。

一方で、このいたすけ古墳住民運動によって宅地開発から免れ、全国でも文化財保護運動のきっかけになった場所でもあるらしい。当然シンボル的な愛着もあるだろうなあ。

 

3.百舌鳥御廟山古墳御廟山古墳

前方部のセクシーな角が楽しめるアングル。左奥には奥ゆかしく後円部のまるみが。

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宮内庁は「百舌鳥陵墓参考地」に治定。参考地ってなんやねん。

堀を巡る遊歩道に小さな神社がありました。

 

4.大仙古墳仁徳天皇陵

圧倒的スケールを誇る大仙古墳。まあ平地で見てもよくわからん。

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歴史の教科書に載ってる一番有名な前方後円墳ですね。

世界3大陵墓にも数えられ、ギザの大ピラミッド、秦の始皇帝陵墓(兵馬俑)を抜いて世界最大の面積を誇る陵墓です。でかい。

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二重の周濠による距離感、厳か度MAX!

宮内庁では「百舌鳥耳原中陵(もずのみみはらのなかのみささぎ)」と呼称。

前述した「百舌鳥耳原」という言葉について、説明の看板がありました。

まず、ここの地名を「百舌鳥(もず)」といいます。最寄駅は「百舌鳥駅」。その由来がすごくて、この大仙古墳の築造をはじめたところ、森から1頭の鹿が走り出てにわかに倒れたそうな。人々が調べてみると、鹿の耳の中から1羽の百舌鳥が飛び去り、鹿の耳の中は食い裂かれていた(!!)。これにちなんで、この土地を「百舌鳥耳原」と名付けたとのこと。

出ました故事に突然登場しがちな無駄バイオレンス逸話。

事件自体がショッキングだし、あまつさえそれにちなんで地名にしちゃうという。ちなむ?普通?

まあ完全に憶測ですが、鳥はよく神の使い的な扱いをされることを考えると、鹿1頭が築造にあたっての神の賜物であるという慶事としているのかもしれないですが、昔の人の考えること理解できね~ジェネレーションギャップまじやばくね。

 

さて、JR阪和線・上野芝駅から1時間半ほどかけて徒歩で巡りました4墳墓。これだけ近くに密集していると、一つ目の古墳から次の古墳の森がちらと見えたりして、古墳ラリー感が楽しい旅でした。紅葉の季節が美しいらしいというのはひとつの発見だったので、機会があれば古墳の紅葉を撮りたいですね。

 

おまけ

僕が古墳巡りをした前日、興味深いコンテンツがアップされていたようです。

srdk.rakuten.jp

srdk.rakuten.jp

みなさんも是非モテカワ古墳コーデで古墳ツアーに出かけてみて下さい。

5度目のiPhone交換-iTunesバックアップのすすめ

慣れによるミスってあるよね。

iPhoneの交換は5度目、iPhone6にしてから2度目の交換です。

 

またもやiPhone6を割ってしまいまして。朝起きてちょっとだけ強めにテーブルにiPhoneを置いたらピシィ!といきました。ダメージがたまってたのでしょうか。

例によって画面保護フィルムは貼ってないので、ポロポロガラスが落ちる。仕方がないのでとりあえず丁度いいサイズのポリ袋に入れて上から操作という応急処置。

前回同様、アップルストアより予約不要のクイックガレージの方がはやく交換できるので、クイックガレージで交換。

まさに特筆すべきことなしといった感じで交換完了。

で、復元なんですよ、ちょっとビビったのは。

 

今回、iCloudバックアップから復元することにしてました。

理由は、なぜかiTunesiPhoneが上手く認識されなかったこと、夜中のバックアップから特に何も更新していなかったことです。まああるからいっかってやつ。

そしたら、復元はじめてもぜんっぜん進まないの。ステータスバーちょこっと青くなっただけで十分以上待っても全く進まない。

ヒエエエエですよね、なんだろうバックアップファイルが壊れてるのかな?新しいiPhoneも古いほうもちゃんとiOS最新になってたしな、なんでや。

と、一度は焦ったんですが、とりあえず放置してみようと20~30分後に再び手に取ると、やった!ステータスバー進捗ありです!残り時間13分!ひと安心。

 

は~一件落着、とはいかなくて、まあどうしようもないんだけどビビったのも含めiTunesでバックアップすべきだったなということなんですよ。

というのも、アプリの再ダウンロードにめちゃくちゃ時間がかかる。12時間くらいかかったかな。これはアプリをどれくらい入れているかによるんだけど、なんと復元直後はなんかアプリ足りないんですよ。並びも半分くらいめちゃくちゃ。

うおーこれはLINEとかデータどうなってるんだ~とか思ったけど、待ってたらまるっと復活しました。

でも、こうただ待ってるだけだといつよく使うアプリがダウンロードされるかわからないんですよ。LINEも6時間くらい経ってやっとでてきた。AppStoreで購入済みアプリのところタップすれば優先してDLできるっぽいけど、なぜかAppStoreが英語表記になってるしでいじりすぎるのもよくないかなと思って控えめにしました。

はい、なんだかんだで無事復元完了しました。

おまけ:画面保護フィルム

あんまりフィルムつけたくないんですが・・・AppleCareも2回使ってしまったので、反省してiPhone7を待ちます。

買ったのはこれ。前情報なしで。

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ラスタバナナの3Dフィルム高光沢

iPhone6の曲面ガラスをフルカバーするというのがポイントなんですが、ラウンドフィルム、Amazonのレビューがけちょんけちょんですね。

まず第一に貼りづらいんでしょうね。

貼り付け面を貼るとこまではいいんだけど、そのあと表面の剥離フィルムをはがすのがむずい。端っこが曲面だからしっかりくっついちゃってるんだよね。無理をすると保護フィルム本体がよれたりシワになる。薄いゼラチンっぽいフィルムなんですよ。

だけど、上手く貼りつけるととてもきれいです。

ほとんど貼ってることがわからない。フチまでフィルムすごい。気泡もヘラと指の腹できれいに追い出せたし、それがだめな人は辛抱がたりまへんな~僕はこの程度には器用なのでいけます。

しかし、やはりけちょんけちょんには理由がないこともない。

質感がちょっとね~~~TPU層があって衝撃吸収らしいけど、爪がつっかかるんですよね。ウレタンのクッション感があまり心地よくない。

それと、端が浮く。上部のスピーカー上、下部のホームボタン下の細い部分がよろしくない。ケース付けてると目立たないけど、端っこは全体的に力が加わるとたわんで剥がれます。

これはきっとあまり長い期間は持たないでしょうね。個人的にはかなり惜しい製品だと思うのですが。

まあだましだまし使いながら、ほかのフィルム探してみます。ガラスフィルムだと今回みたいな割れた時のつなぎにならないので樹脂フィルムで。

 ↓前回の交換記録です。記事へ飛ぶと最下部により以前の交換記録あります。

sokonuke.hatenablog.com

 

浮世絵と漫画(国芳イズムー歌川国芳とその経脈)

練馬区立美術館で『国芳イズムー歌川国芳とその経脈』という展覧会を見てきました。

まず第一に、浮世絵は漫画。漫画は浮世絵。という感想。浮世絵って、線画と着色なので手法はまさに漫画なんですよね。社会的な位置としても、大衆向けのイラストという感じも強くて、歌舞伎の演目の絵なんかは少年ジャンプ的な熱いドラマと燃えるチャンバラだったりして、当時浮世絵を刺青するヤンチャな人々が大勢いたとか。

特にやばかったのは小林永濯なんですが、あまりネット上に画像がなかった。絵自体は当然パブリックドメインになってるんだけど、画像としてアップロードされているものが少ない。下で紹介する鍾馗図はぜひ見て欲しいんですけどね~、漫画家だったら画力!!!という感想になると思います。凄まじいオーラが出てる。

尾形月光については丁度気に入った作品があったので画像貼り付けてます。もちろんいちばん時代が下ってるというのはあるのだけど、立ち姿というか仕草というか、言語にしづらい本物の人間らしいニュアンスが感動的。何の演出効果も使わずにこうまでしなやかでやわらかい動きを感じさせる絵というのはもう恐れ入りましたというしかない。

 

というわけで、以下、この美術展で気になった人物と作品を並べておきます。

 

歌川国芳(うたがわくによし)1797-1861

 舌切り雀図・・・完全にアニメ絵ですね。蛙の目。

河鍋暁斎(かわなべきょうせい)1831-1889

 松村三太夫高直・・・グロ系浮世絵というのもあるんだ。

月岡芳年(つきおかよしとし)1839-1892

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By 月岡芳年 - 『芳涼閣両雄動』 (http://www.muian.com/muian04/04yoshitoshi21215.jpg), パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=17028032

 芳涼閣両雄動・・・構図が非常に漫画的。

 月の百姿 大物海上月 弁慶・・・素朴な表情がいい。

小林永濯(こばやしえいたく)1843-1890

 鍾馗図・・・やばすぎ。ジャンプだったら「ドン!」って書き文字入ってる。

 和英対訳 大日本功名略伝 菅原道真・・・ちゃんと海外にも紹介してるんですね。

 曽我兄弟夜討之図・・・ブラザー感が出ている。

尾形月耕(おがたげっこう)1859-1920

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 花火人名所合 亀戸臥龍梅・・・水色に白ドットの着物がかわいい!着物で見えない脚もシワだけでしゃなりと歩いている感じがして品がある。

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 墨田河百花園七草・・・幼い子の体の開き?まさに幼い感じと、少し年上の女の子の躾された歩き方、言葉で表現できないその機微が超上手く描かれてる。ものすごい観察眼。

 楠正行 四条畷忠戦之図・・・降り注ぐ矢の描写がこれまた漫画的。ドラマチック。

 

20の短編小説の20の短文レビュー

面白くない話はなかった。さすが今をときめきまくってる作家陣だ。

お得なのか、薄味なのか、20人の作家が原稿用紙20枚に20をテーマにした短編小説を集めた本。いろいろな作家をお試しできるという意見も多いが、どれも日本語で書いてあり実力のある作家ばかりなので、すべて面白く特に合う合わないということはなかった。

しかし20もあると逆に気が乗らない、ピンとこないということもある。そこで一瞬で読めて意味が分かるような分からないような短文レビューを羅列する。俗っぽかったり手抜きだったり意味不明なものもあるがインスピレーションそのまま無加工である。

どれを読んでも読めたという体験を踏まえ、積極的には著者名を明記しない。あんまり著者を意識せずに読んで、あとで振り返るという読み方も面白いと思う。

 

清水課長の二重線
 朝井リョウの職場人間観察小話
Across The Border
 業と運命
If
 おためし伊坂幸太郎 通勤バス編
二十人目ルール
 うそつき
蒸籠を買った日
 こじらせ女子 不条理初体験す
十二面体関係
 幾何学的事件簿
悪い春
 戦争は冬あるいは夜
20
 数を数える女の子
20光年先の神様
 些細な記憶と生き方の大きな変化
マダガスカル・バナナフランベを20本
 人生は淀む。ゆるやかに下衆。
いま二十歳の貴女たちへ
 白石一文講演会
ペチュニアフォールを知る二十の名所
 僕はもともとペチュニアが好きじゃないんだけど、これを読んで一層そう思う。
ウエノモノ
 上司ではなく上に住む者の意。
ブリオッシュのある静物
 粋なおばあちゃんの思い出 in NY
人生リングアウト
 プロレスの機微
ヴァンテアン
 遺伝子工学と3Dプリンター 羊羹とマッドサイエンティストを添えて
法則
 まず人を殺すことを改めなさい
廿世紀ホテル
 実ニ愉快、二十世紀ノ香リ
もう二十代ではないことについて
 惰性か、適応か、まあ自転車もいいものだ
20×20
 惰性か、堕落か、これでよかったのか

 

おおむね淡泊な味わいだった。ほどよく快適な空間で読むべき本。

2015年を振り返る:本

年が明けると一気に振り返るモチベーションが低下しましたね。我々が十分な反省をするなんてことは滅多にあることではないのだ。ついに2月になったけど面の皮厚めでしれっとお送りしたいと思います。

読んだ冊数:20冊 買った冊数:27冊 金額:56,588円

いけませんね。積読。しかも読んだ方には図書館とか知人に借りた本も入ってる。

ほとんど単行本ばかり買っているので単価も高い。

単行本は持ち歩きにくくてより進まないんだよな。それでも通勤カバンの大部分を占めつつ電車で読んでるけど、座れたら睡眠優先しちゃうんだよね。

 

本についても、いくつか紹介します!

『半年後、小惑星と地球が衝突し、世界は終わる。しかし、新人刑事は捜査をやめない。』
帯のこれだけでガッチリ掴まれた。中身も期待以上のノワール小説感。こんなセンチメンタルな人類滅亡があるのか。

第2作: カウントダウン・シティ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

第3作: 世界の終わりの七日間 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

この3部作はとても良かったですね。2015年ではこれをまず第一に推薦したいです。

SFと、ミステリの要素を含むノワール探偵小説。主人公が淡々と、黙々と、そして執念深い性格で、その雰囲気は物語全体の印象になってる。小惑星の落下が迫るにつれて募っていくのは途方も無いせつなさ。何もかもがせつない。第3作のラストシーンは万感の思いが押し寄せます。

 

米文学が好みになってきたところにこの本は最高だった。いわゆる古典的なマジックリアリズムとはビートが違う。アップテンポで自由な語り口が確かにポップ。それでいて物語にドスが効いているので攻撃力もある。オスカーのナンセンスなキャラクターでこの物語をキメるってところが超かっこいい。

主人公がナード(≒オタク)というのがめちゃくちゃ効いてて、物語の土台がナンセンスでダサいっつーのが良い。それだけなら日本では小さい世界の話に終始しそうなところ、ドミニカ共和国という環境と歴史がそれを許さない。照り付ける太陽と深い闇がオスカーを祝福し、切り裂いていく。

あまりすいすい読める小説でもないしボリュームもあるので万人にお勧めはできないけど、この小説だからこその魅力があるいい本でした。

 

帯の『サノバビッチとジャンキーまみれのファックライフ!』がマジだった。気取らず連発されるマザファカ&ファック。カジュアルな地獄。

しかしこの世界ってこんなにタフな現実だったっけ…アフリカの描写がガンガン頭に響く。

 オスカー・ワオと同じく、非常にタフな環境が舞台になる話。一方で頭のネジがぶっ飛んでいるインテリという組み合わせがとてもクール。

翻訳の舞城王太郎は独特なマシンガン文章が特徴の作家。原書読んでないしそもそも英語わからないけど、この本に関してはほんとにストーリーと設定からほとばしる生命力みたいなものが翻訳されてもありありと感じられるところがすごい。著者と訳者がシンクロしている感覚。

まず日本に住む一般人が経験したことのない環境を、ここまで肌感覚を伴って再生できるってすごい。「体験」としての読書ができます。

 

本当に素朴でまっとうなバランス感覚のある著者の文章を読んで心底ほっとした。自然に対して人ひとりが背負える業、背負うべき業のサイズ感を実体験として持たれていて、その生活を無理なく実践されている事を尊敬します。

最近はSNS中心に評論家気取りの一般人(まさにおれだけど)が増えてる中で、クオリティが高い言説もある一方、やはり全体の物量が大きくなるにつれその裾野もひろがっていくわけです。

そうなってくると、学校の作文で書くような「どうぶつをころすのはざんこくでよくないとおいます!」レベルのまさに小並感コメントがあふれかえり、これに対して「所詮この世は弱肉強食、グリーンピース死ね」というような中二コメントが応戦するという控えめに言って地獄の様相を呈する今日この頃。

本当に価値のある言説っちゅーのがこの本にはあると思います。あくまで、人ひとりが扱える概念とか、感覚っていうのは限りがあると思うんですよね。いくとこまでいくと結局現場で何が起こっているのかというところに立ち返ってくる。

絶望も楽観もしない、現実を直視するという点が非常に気に入りました。自然原理主義でもなければ、人間至上主義でもなく、人ひとり、自分の手のひらを見つめるような文章に感銘を受けます。

 

4冊紹介しましたが、気軽におすすめできそうなのはけもの道とギリ地上最後の刑事かなあ、オスカーワオとコールドスナップはめちゃくちゃ灰汁が強いです。でもその灰汁の強さにシビれたんだよな~

以上!

2015年を振り返る:映画

2.映画

鑑賞本数:38本(うち劇場18本) チケット代:32,680円

月3本くらいか。劇場へは2月に3回のペース。すごい映画ファンというわけではないけど、普通よりは多いという感じでしょうか。金額はレンタル代入ってないけど、趣味としては大した金額じゃない・・・はず。

さて、例によっていくつか紹介したいわけですが、あんまり順位つけるの得意じゃないんだよな。順位はないけど、印象度が強かったものを選びます。

 

🎥 スター・ウォーズ フォースの覚醒(ネタバレほぼなし)

まあこれはね。

観に行く前に、レンタルで公開順にエピソード4,5,6,1,2,3と観ました。5と6はところどころ記憶にないシーンがあって、たぶん今までテレビ放送でカットされてたりウトウトしてたりした部分じゃないかな。

巷では古参ファンがまるで常識のように1~3をこき下ろしてますが、どちらかというと生まれてから公開されて親しんでるのはアナキン編なんですよね。パドメ(ナタリー・ポートマン)かわいいしオビ=ワン(ユアン・マクレガー)カッコいいしいいじゃんね。ライトセーバーも動き早いしヨーダの覚醒っぷりも楽しいし。ヨーダが急に元気になるのおかしいって人いたけど、シリーズ通して突っ込みどころなんていくらでもあるのにね。

やばい、今作の話になってないけど、良かったですよ。でもなんだろう、ワクワクの対象がグワーッと画面から飛び出してくるわけですよ、なんかもう浮き足立っちゃって全体像を飲み込めなかった。なので、2回目観に行こうと思ってます。

(ちょっと中身の感想)

レイは飲み込みが早くて優秀ですね。映画とかドラマとか漫画ってとにかく主人公の飲み込みが悪いというか勘違いとすれ違いがドラマになるという風潮があるけど、真逆。清々しいですね。

一方でカイロ・レンは頼りないし、最高指導者スノークダース・シディアスほど賢そうではないしで、どちらかというと悪役の今後の成長が心配なあまりうっかりダークサイドに堕ちてしまいそうになります。気を付けましょう。

 

🎥 バードマン

アカデミー賞を取るもなかなか渋い構成なので、どちらかというとセッションの方が一般的に人気があるようなないような。

でも、僕としては断然こっちですね。今年の「あ~~~~いい映画みた!!!!これぞ映画!!!」はこれです。去年でいうとグランド・ブダペスト・ホテルですね。イカス!!という感じ。最高にクール。音楽というかドラムと映像が絶妙に絡んでいて、もはやドラムのリズムが脚本にまで響いているような、観ている方の感情にまで働きかけるような構成の完成度たるや。

万人に勧めるわけにはいかないけど、ちょっと映画が好きだ、あるいは演劇が好きだという人には強くお勧めしたい。

 

🎥 神々のたそがれ

ストイック中のストイックな映画です。

まずこのご時世にモノクロ映画というのもすごいんだけど、内容が混沌もいいとこでとにかく泥、糞、血、死体等々の濁りきった映像とカオスなカメラワークに狂人たちの呻き声。それがほぼ3時間にわたって続くという前代未聞の映画。実際これ観ようって人はかなり映画好きというか物好きが多いと思うんだけど、それでも上映中ガンガン退出する人いるし寝てる人もちらほらという有り様だった。

それでも、映画としてのパワーは物凄いものがあって、偶然体調も良かったのか釘付けになって3時間があっという間に感じるほど衝撃を受けた。衝撃度で言えば今年の中でダントツの1位。

ほとんど意味をなさないような呻きも、始終まとわりつく泥と雨のグチャグチャとした音も、住民と主人公の鼻をすする音も、ぎらつくような楽器の音色も、すべて耳にこびりついている。ストーリーも登場人物の名前すら満足に理解できない構成にもかかわらず、絶対に忘れられない映画になってしまった。

映画の極地、まさに北極点とか南極点に向かうような厳然たる世界が広がっている。

 

🎥 インヒアレント・ヴァイス

ちょっと肩の力を抜いて、でもセンスが光るこいつもイカス映画です。

評判はまずまず、って感じでなんというか盛り上がりも少ないから?小粒作品とされているような気がするんだけど、かなりいい雰囲気と思う。

たまたまヒッピー文化をちょっと調べたりしてたこともあって、ドンピシャ。で、当時のそのままのヒッピーを持ってこられるとちょっと引くっていうかまあ古さは隠せない感じじゃないですか。そこにジョニー・グリーンウッドの音楽ですよ。

これが、ちょっと洗練された感じで現代との橋渡しをうまくしてくれてる。衣装も当時の再現をしつつ、今も良さがわかるような演出でとにかくセンスがいい。

ヒッピー的というのか、全体がジョークの軽い雰囲気に包まれてるグダり具合がサイコーな映画。雰囲気を楽しめるような環境で見るといいと思う。

 

🎥 ロマンス

急に全然ジャンルとか規模とか全く違う映画なんですが・・・

あれです、大島優子主演の。出張先で時間持て余してフラっと観たんだけど、なんとなく印象に残ってるな。これが良い感じなのは、深夜ノリみたいなところですかね。

当然演技がすごい!とかいう映画じゃないんだけど、これ夜中にテレビでやってたら最後まで見ちゃうやつ。深夜のカップラーメンとか夜のSAのかけそばみたいなもんですかね。ところどころバラエティの再現VTRみたいなところもあって変な感じなんですけど、それでもこうぐじぐじした人生のしょうもなさみたいな話として質よく撮られていると思います。

 

🎥 はじまりのうた

いわゆるビタミン映画って言うんですかね、女性向けでつらいこともあるけど明日からまた頑張ろう的な。企画的にはそういうくくりではあるんですが、それにとどまらない魅力があると思います。

まず驚くのがキーラ・ナイトレイの歌声。ちょうきれい。ユーデビューしちゃいなよって感じ。いや、そういう話なんだけど。そんで、マルーン5のボーカル、アダム・レヴィーンが彼氏役の売れっ子バンドマンとして出演してて、当然歌は良いですよね。

筋としては、彼氏の浮気で別れて落ち込む主人公(グレタ)が落ち目のプロデューサーに発見されて、グレタに気力はないしプロデューサーには金がないでどん底からのスタートだけど、少しずつ人の助けを借りてそれぞれが自分自身と音楽の喜びを取り戻していくという話。自由な音楽そのもののきらめきが描かれていて、金が無くて野外録音するシーンのワクワク感、そしてラストの屋上での演奏シーンは最高にハッピーでかっこいい。

 

まだまだあるんだけどピックアップはこんなところで。他にもマッドマックスとかジュラシックワールドとか興奮したし、ホドロフスキーのDUNEでドキュメンタリーも手を出し始めたり、ぼくたちは上手にゆっくりできないとかDressing Upで監督たちの舞台挨拶?トークショーを聞いたり、映画、楽しみました今年も。

2015年振り返っちゃう?Amazon編

ベタな企画だから避けていたわけじゃなくて、単純にいままで年末に間に合わなくて企画倒れしてただけで毎年振り返りたい気持ちはあったんですよ。

今年は余裕がありそうだし、以前にもましてこまめにライフログ的な記録をとることに成功した一年だったので、集計もいい塩梅にできそうな次第です。

今年一年、日々検討することが多かったのは、映画と読書ですね。映画はそれなりに劇場で観たし、本は買うことと作家のトークショーに行くことなどがありました。それと日常で接する機会が多いのがAmazonですよね。毎週のように宅配便が来る生活です。

ということで、映画、本、Amazonについて実績数値と改めてこの場でリコメンドできそうな事をまとめたいと思います。

 

1.Amazonで買ったもの2015

購入点数:68点 購入金額:約16万円

基準がないから多いのか少ないのかよくわからない。1商品あたり平均2353円というとまあそんなに安いものばっかり買ってるわけじゃない感じもする。出張費やらなんやらでクレジット支払いが例月のように10万円超というところからすると、まあこんなもんかという感もあるかな。

せっかくなので、今年買ったものの中でこれはというものをいくつかご紹介します。

並行輸入品ということで、安いですね。1250円でした。SDHCカードの中で最安かというとそうじゃないんですけど、品質と性能と考えるとこのあたりがいいとこなんじゃないかなという。こういう備品類はお得な買い方とか品質のロット差やら色々あって正直よくわかりません。まあこの値段ならええやろみたいな。

 

Janat(ジャンナッツ) アールグレイ 100P

Janat(ジャンナッツ) アールグレイ 100P

 

これはブログで紹介されていることも多いみたいですけど。100パックで810円なので、1パック8.1円ですね。香りが強く、そこそこおいしい。会社でも家でも飲んでます。

紅茶をいれたあとのティーバッグを直接ゴミ箱に入れるのに抵抗があったり、1パックで2回いれられるんじゃないかとかいろいろ考えたんですけど、お金を使うとコストメリットが簡単に死ぬんですよね。

最近はもうペットボトル買うより遥かに安いしと思ってバンバン使ってます。ティーバッグはあらかじめカットしておいた古新聞で包んで捨ててます。

 

LUCIDO (ルシード) 乾燥防止ローション 140mL

LUCIDO (ルシード) 乾燥防止ローション 140mL

 

夏は透明でシャバシャバの化粧水使ってて、冬はちょっととろみのあるやつ使ってるんです。風呂あがりと朝の洗顔後ですね。

なぜこれかというと、量も質もちょうどいい感じだからです。他のをあんまり試してないというのはある。ただ、ルシードだと最近どのドラッグストアも容器が違うタイプしかなくて、そっちは高いんですよ。なぜかこの手頃なやつがどこにもないので、Amazonで買えて重宝してます。

 

キャンパーズコレクション クールトップワンタッチサンシェード(約3人用) ブルーブラウン OBT-6SUV(BBR)

キャンパーズコレクション クールトップワンタッチサンシェード(約3人用) ブルーブラウン OBT-6SUV(BBR)

 

5588円って意外と安くない?最近のビーチはこういうテントがあたりまえなんですね。僕はもう10年以上海から離れて過ごしていたので、こういうことになっているというのは今年久々に海に遊びに行って知りました。子供の頃はビーチパラソルだったなあ。機能的には、UVカットだったり網戸(メッシュ)付きだったり固定の仕方だったりを見たほうが良いです。あと床?は薄いので、別途レジャーシート的なものが必要。うわさによると運動会の応援にも活躍するとか・・・

 

えーと、地味だけどとりあえずこの4種類くらい。

他には通勤カバンを買いましたね。なんかこれはあまり公表したくないので商品名は伏せますけど、ネイビーのナイロン生地で取手がブラウンのブリーフバッグです。1万円台で、なかなかスマートなデザインで気に入ってます。重さも620gで軽い。ネットでバッグ買うからには寸法と重さは絶対に書いて欲しいですよね。

失敗したものとしては、温湿度計付きの壁掛け時計です。デザインは気に入ってるし、結果的に問題はなかったんだけど、秒針のカチコチ音が大きかった。最初に設置した時は気になって眠れないんじゃないかと思ったほどだけど、幸いにも僕の耐性が強く何事も無くぐっすりと眠れましたね。最近は気にしないと音の存在すら意識しません。

 

以上、Amazonはこんな感じですが、意外とボリュームがありそうなので、映画と本はそれぞれ記事を分けようかな。分けます。