20の短編小説の20の短文レビュー

面白くない話はなかった。さすが今をときめきまくってる作家陣だ。

お得なのか、薄味なのか、20人の作家が原稿用紙20枚に20をテーマにした短編小説を集めた本。いろいろな作家をお試しできるという意見も多いが、どれも日本語で書いてあり実力のある作家ばかりなので、すべて面白く特に合う合わないということはなかった。

しかし20もあると逆に気が乗らない、ピンとこないということもある。そこで一瞬で読めて意味が分かるような分からないような短文レビューを羅列する。俗っぽかったり手抜きだったり意味不明なものもあるがインスピレーションそのまま無加工である。

どれを読んでも読めたという体験を踏まえ、積極的には著者名を明記しない。あんまり著者を意識せずに読んで、あとで振り返るという読み方も面白いと思う。

 

清水課長の二重線
 朝井リョウの職場人間観察小話
Across The Border
 業と運命
If
 おためし伊坂幸太郎 通勤バス編
二十人目ルール
 うそつき
蒸籠を買った日
 こじらせ女子 不条理初体験す
十二面体関係
 幾何学的事件簿
悪い春
 戦争は冬あるいは夜
20
 数を数える女の子
20光年先の神様
 些細な記憶と生き方の大きな変化
マダガスカル・バナナフランベを20本
 人生は淀む。ゆるやかに下衆。
いま二十歳の貴女たちへ
 白石一文講演会
ペチュニアフォールを知る二十の名所
 僕はもともとペチュニアが好きじゃないんだけど、これを読んで一層そう思う。
ウエノモノ
 上司ではなく上に住む者の意。
ブリオッシュのある静物
 粋なおばあちゃんの思い出 in NY
人生リングアウト
 プロレスの機微
ヴァンテアン
 遺伝子工学と3Dプリンター 羊羹とマッドサイエンティストを添えて
法則
 まず人を殺すことを改めなさい
廿世紀ホテル
 実ニ愉快、二十世紀ノ香リ
もう二十代ではないことについて
 惰性か、適応か、まあ自転車もいいものだ
20×20
 惰性か、堕落か、これでよかったのか

 

おおむね淡泊な味わいだった。ほどよく快適な空間で読むべき本。