またもや京都

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平等院は数年前に改修してましたね。

元からシンボリックな建物なんですね。両サイドの翼廊は登るための階段もなければ天井も低い。飾りだそうです。目的はただ極楽浄土の再現。

併設の博物館「鳳翔館」の展示がなかなか良いです。神殿のような(という例えでいいのか)エントランスを進み、控えめな照明に浮かび上がる仏像たち。最後の部屋には正面の壁一面に悲運に乗った躍動感ある木彫りの仏像「雲中供養菩薩像」。なるほど極楽浄土へ連れて言ってくれそうな浮遊感。あまり時間がなかったのですが、結構いくらでも見ていられそうな表情豊かな菩薩像です。

 

所変わって、伏見稲荷の門前ですずめの丸焼き。1回食べてみたくて。

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脳みそがおいしいよって言われたけど、首の骨が固くて一口で全部食べたらあんまり脳みそ分からなかった。骨はパリパリというよりはミシッて感じで、骨があるのがおいしいってわけじゃないですね。山椒とタレの香りが上品。

鳥の骨って鋭く割れるから危ないって聞いたことがあるんだけど、すずめは小さいからOKなのかな。まあ特に喉に刺さるとかってことはなかったです。

 

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さらに場所が飛びまして、京都市役所前駅祇園四条駅の中間にある龍鳳という中華料理店へ。写真はカラシ入りそばでございます。

おなじみ京都の中華です。カラシそば初めて食べました。うまい。麺に絡めたカラシがふわっとやさしく香ります。

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春巻き。これも京都風と言っていいのでしょう。とにかくやさしい味わい。全く強い香りがありません。内側の皮はモチモチしていてある種麺料理のようにも感じられる。

次に京都に来たら、椒醤酥鶏(カラシミソ)を食べて見たいですね。揚げ鶏に甘辛のチリソースがかかっている料理。酢豚も店によって個性があるそうなので、そちらも気になります。

 

ところで烏丸線の入線メロディ、ゼルダの伝説ムジュラの仮面のいやしの歌とそっくりじゃないですか?任天堂も京都にあることだし、なんか繋がりがあるのかと勘ぐっちゃいますね。


京都市営地下鉄 烏丸線 入線メロディ 高音質♪

LEM

スタニスワフ・レムを巡ってというパネルディスカッション形式のイベントに行ってきた。基本的には年配の方の方が多かったけど、まあ文学書籍のトークイベントなんて基本そうだろうし、テーマがレムなら尚更でしょうね。むしろ思ってたよりは若い人が何人かいたかな。一部は出版社とかメディア系の人かもしれないけれど。

レムに関するここ最近の話題として、国書刊行会のレム・コレクションが完結したこと、12月にEテレの100分de名著の題材としてソラリスが取り上げられることなどがある。

パネリストはレムの翻訳のほとんどを担当している沼野充義さん、アメリカ文学研究者でSF評論家の巽孝之さん、作家の円城塔さんの3名・・・そして沼野さんのTシャツにプリントされたスタニスワフ・レムさんの4名でした。残念ながらレムさんは一言も発しませんでしたね。

 

▼短編映画上映

まず映画の上映がありました。

原題"Przekladaniec" 邦題は『寄せ集め』。なんとアンジェイ・ワイダ監督。

1955年にラジオドラマ用の脚本として書かれ、1968年に本作がポーランドで放送。

レムが書いた脚本のタイトルは『Mr.ジョーンズ、きみは存在しているのか』で、英語圏では"Layer Cake"と言うタイトルだそうです。

レイヤーケーキというのはロシア・東欧あたりのケーキで、何層かにスポンジとクリームを重ねて作るケーキのようです。検索してみると結構普通のケーキっぽい感じ。

移植手術をネタにした半分コメディのような話で、何度も事故を起こして移植手術を受け続けた結果いろんな人の心と体がレイヤーケーキみたいな寄せ集めになっちゃった、というオチ。

鼎談では、臓器移植も未来の話であった時代の創作でレムの先見性が伺われるという発言もありましたが、調べてみると世界では1954年に腎臓移植、1963年に肝移植、1967年に心臓移植が実施されていて、1900年代初頭から移植手術の検討とか怪しい実験はされていたようです。年表的にみると、最初の一報でレムは想像をボワンと膨らませて脚本を書き、世間的に移植手術が知られるようになり始めたところでドラマ映画化というのが実態な気がしますね。

巽さんと沼野さんの仰っていた「スラップスティック的」な表現が『泰平ヨンの未来学会議』の映画(コングレス未来学会議)と通ずるところがあるというのは納得。予算と技術的な問題でしょうけど、今回の『寄せ集め』でもレースカーの事故の場面はマンガで表現されていて、コングレス未来学会議でカートゥーンアニメと実写が混在していたことと繋がる気がします。

沼野さんはミハイル・ブルガーコフの『犬の心臓』との共通点も指摘していました。犬に人の脳下垂体と睾丸を移植する話のようです。こちらは1924年に発表されていて、これは1900年〜1910年の間に犬、猫の同種移植、羊と豚からヒトへの異種移植手術実験がされている前提があるかと思います。

まあそうは言ってもレムの先見性というのは疑問の余地はないですけどね。円城さんが「GFPなんかも予言している」と仰ってましたが蛍光タンパク質の事でしょうかね、バクテリアに言葉を教える話(『エルンティク』かな?)と絡めていたような気もしますが、その関係性はちょっとわからなかったな。

▼レムの文章

沼野さんが円城さんに振った「レムのSF的、文学的印象」という話は興味深かったです。円城さん曰く、「大体のことは レムが書いている」「思考が突き抜けているので、ディティールにはこだわらない」「プロジェクトリーダー的な人物で、こういう技術があるんだから最終的にはこうなるでしょ、あとはやっておいて」的なものの言い方をしているとのことでした。『虚数』や『完全な真空』もそういうことなんだろうなという気がする。ざっくりアイデアを提示すればあとは分かるよね、っていう。

円城さんの方から沼野さんに質問もあり、「レムの原文はどういった雰囲気ですか」という趣旨のもの。「簡単ではないですよ。知的な文章というか、専門用語も多いし造語まである。ユーモアも織り交ぜるので翻訳は難しい。重訳では限界がある」(沼野氏)。沼野さんへの質問の流れで面白かったのが「レムはポーランドでは広く人気の作家で一家に一冊レムがあるというのは本当ですか、日本で言えば一家に一冊円城塔みたいなことですよね」(巽氏)という質問。これは自分もどこかで聞いたことあるんだけど、沼野さんによるとやはり誇張があるのではとの答え。そりゃそうですよね。

▼レムと周辺

円城さんが「レムの系譜がわからない。文学的にも、科学テーマの扱い方についてもこれと言った類型がない」ということを仰っていた中で、巽さんは「レムはメルヴィルが好き(影響を受けている?)と言っている」という情報。意外なような気もしますが、『白鯨』では「鯨学」というのがあって事細かに実際のクジラについての学術的講義が展開される。これはまさに『ソラリス』において「ソラリス学」が展開される流れと同じじゃないか、「だから長くなっちゃうのか」(円城氏)なんて話もありました。

あとは、円城さんが何か繋がりがないかということで思い当たるところでは「ルヴフ学派」という数学者の一派があるとのこと。さすが専門分野という感じの指摘。ざっくりとしかわかりませんでしたが、ちょっと変わった変態的な数学理論を構築していた集団で、地域的、時代的偏差があったのかも?ということでした。

レムの好み、という話からアメリカSFとレムという視点で、1973年の「レム事件」が話題にのぼりました。一旦はアメリカSF作家協会の名誉会員になりかけたが、そのタイミングでレムはアメリカSFをクソミソに批判したせいで立ち消えになり、特にフィリップ・K・ディックは激怒。しかし実はレムはディックの『ユービック』のポーランド語解説をしており、アメリカSFの中でディックだけは評価できるなどと発言していることが分かるとディックは手のひらを返して「昔からレムが会員になることは反対していない。怒っていたのはポール・アンダーソンだ」と会長に責任をなすりつけたらしい。笑える話。

レムとはなんぞやという一連の話の延長で、「スペキュレイティブ」ではないかという話に。「科学技術が発展するその先の世界をストレートに敷衍して想像した結果生じるおかしみ」(円城氏)を書いているとの評。

▼質疑応答

最後に質疑応答があり、「パネリスト3名のそれぞれ一番好きなレム作品は」という質問に、沼野さんが『ソラリス』、円城さんが『GOLEM XIV』、巽さんが『挑発』をあげていました。(ちなみに質問者はNHKEテレの方でした)

次に「今回上映した『寄せ集め』のように科学技術の発展に伴って倫理の問題が出てくる。レムの倫理についての捉え方は」という質問。「レムはあまり倫理という感じではない、不謹慎でもある。それよりも技術が発展していくと(倫理を含め)なぜかおかしなことになる。そういうことに面白さを感じる人なのでは」(円城氏)に対し、沼野さんからは「彼自身ユダヤ系でホロコーストの現場に立ち会った人。そういうことに大きな問題意識を持っていたということはあるのではないか」とのコメントもありました。

 

映画が30分超で、自己紹介やら何やら差し引いてトークは正味1時間くらいだったので、そこまで深入りした感じはなかったですかね。まあ予約制とは言え無料のイベントなのでこんな感じでしょうか。椅子も1/3くらいの人は補助の丸椅子で尻も大分ダメージを受けていたことですし、十分興味深い内容だったかなと思います。

どうやらEテレの100分de名著でSFを取り上げるのは初らしいですけど、これまでも荘子とか老子レヴィ=ストロースとかやってるみたいだし全然OKじゃないのって感じしますけどね。もっと一般層にSFってスペースオペラとか異星人侵略モノだけじゃないのよ、ってのが伝わるとよいですね。

京都に半日

1.いい宿

最近よく見かける外国人をターゲットにしたホステルやゲストハウスに近い宿に泊まってみた。部屋は共有ではないので、普通のビジネスホテルとの中間くらいの宿。

中に入るとエントランスがそのままラウンジになっており、中央のキッチンを囲むようにソファやテーブルが配置されている。

予約したプランは輸入ビール1本とおつまみ付き。サリトスというテキーラフレーバーのビールを選ぶ。夕飯は食べてきたので、ラタトゥイユとポテトチップスを少し取った。

キッチンの反対側のカウンターに席を取り、ビールをグラスに注いで本を読む。

フロアには他に若いカップル、40代くらいのサラリーマン、アジア系の観光客、20代前半の女性2人組、着物を着た坊主頭の中年男など様々。端的に言ってごちゃっとした客層である。値段の安さを求めてきた人と洗練された施設を求めてきた人が同居する空間。ある意味味わい深い。

背後のスクリーンには京都市内にある系列ホテルのラウンジが映し出されており、ピアニストがジャズの生演奏をしていた。

 

部屋は木目調の化粧板を使った家具やモルタルの二段ベッドなど、二流っちゃ二流の洒落た宿なのだが、なかなかどうして使いやすい。

気になる点は、部屋が酸っぱい臭いがすること。前の人の汗臭さと言われればそんな気もするし、化粧板や木製家具の接着剤臭と言われたらそうかもしれないと思う臭い。

トイレと風呂は共同だけど、共同って言葉の響きとは違って、普通の商業施設のきれいなトイレと洗練されたデザインのシャワールーム。ビジネスホテルのカビ臭いバスルームより圧倒的に良い。大浴場(小)もある。

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なお、一見ベッドが狭く見えるが、実際に狭い。身長174cmの人間は大の字になって寝た。

 

2.読む本

ラウンジで読み始めたのは『安徳天皇漂海記』だ。イロモノ小説かと思いきや、わりと濃密な中世文学の知識を要求してくるイロモノ小説である。和歌や文献の説明は最小限で、古事記平家物語吾妻鏡伊勢物語方丈記などの古典の数々と、和歌・琵琶語りが鮮やかに織り込まれた物語。中盤まで読み進めたが、感情の状態としては「寂寞」というところである。

安徳天皇漂海記 (中公文庫)

安徳天皇漂海記 (中公文庫)

 

 

3.映画

この日はホテルにチェックインしてラウンジで1杯飲んだら映画を見に行く予定だ。

旅先で映画を見ることの良さを体験したのは、名古屋の伏見ミリオン座で見た大島優子主演の『ロマンス』である。

ロマンス

ロマンス

 

特別ヒットしてないし、大島優子も100点ではない演技だったし、途中再現VTRみたいだったけど大倉孝二が妙にいい味を出しすぎていてなぜか憎めない謎ポジションの映画。

しかし映画の舞台の箱根と、この映画を見た名古屋が共に自分の中で「枯れた旅先」というくくりになっていたために先方の目論見以上に旅情を煽られた結果、非常に心に残る映画になってしまった。

こういうことがあると旅先で映画を見る意味というものがいや増してくる。

さて、予想以上に寛げるラウンジでビールの次は無料のコーヒーを自分で豆から挽いてドリップする。これまた読書にぴったりの環境ではないか。

 

こうして僕は映画を見に行くのを忘れたのだ。*1

 

 

4.京都の中華

目的は第一に好きな寺の庭を眺めること。

第二に少しだけ残ったフィルムカメラのフィルムを使い切ること。

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光明院

朝8時半に寺に入り、志納の300円を納めたあと縁側で胡坐をかいてぼーっとする。

するとどうだろう、蚊が寄ってくるのだ。

一番端の水路の傍にいたので、次の間の畳の方に避難する。静かな時間が訪れる。

かと思いきやまた蚊が来る。逃げる。座る。蚊が来る。逃げる。座る。刺されている。

蚊遣りでも焚いて欲しいが殺生はいかんのだろうか。

 

そのあといくつか書店を巡るがジャストで趣味に合う店はなかった。家の近所に過去最高に趣味の合う店を見つけてしまっているので、まあそれ以上の店に出会うことはめったなことではないだろう。

 

途中、空也上人立像を見に六波羅蜜寺に立ち寄った。口から仏様のあの空也である。

華奢だ。鎖骨が出ている。そして薄い唇。繊細。

意外とそのほかの像もよい。藤原時代の地蔵菩薩は一般的な地蔵イメージよりも遥かに美しい仏像だった。弘法大師空海)はガタイがよく、湛慶は鉢がでかくて俳優の伊武雅刀に似ている。運慶はあたまが尖ってるのが特徴的で目尻にシワがあり頰が出ている。清盛は荒さよりも達観した雰囲気を醸し出している。などなど、それぞれのキャラ立ちがすごい。

 

さて、京都の中華はいつ出てくるんだという話である。

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平安神宮近くの七福家という中華料理屋の黒酢酢豚。

以前この本を涎を垂らしながら読み、京都と中華が強く結びついてしまっている。なんでも京都の中華は具が細かくにんにくを使わない傾向があるとのこと。日本の中で独自の中華料理圏を形成しているという面白い話だった。

京都の中華 (幻冬舎文庫)

京都の中華 (幻冬舎文庫)

 

七福家はどちらかというと一般的な大衆中華食堂でストイックな京風中華ではないと思うけど、濃厚だけどシンプルな香りで後味がさっぱりしている点は京都人の好みじゃないかな。近くにあったら通いたいですねえ。

 

というわけで、一晩泊まってからの半日旅。

なおこの日の夜は銀座でうまい焼肉を食べるという食い道楽な1日でございました。

 

*1:見たかったのはジム・ジャームッシュの『パターソン』

紙ブックカバー選手権

本を買ったときに紙のブックカバーかける文化って日本だけみたいですね。

もとは大正時代に古書店がはじめたとか。書皮ともいう。

紙のカバー、好きですね。本のサイズにぴったり合うし、よりフィットさせたければハサミを入れてテープで貼ると完璧。一度そこまでやってくれる本屋があってなるほどと感心しました。

で、結構Amazonで本買うことも多いので、店舗で貰ったブックカバーは取っておいてます。そんで近いサイズのカバーを選んでかけてるんですが、ブックカバーって書店によってデザインも質感も違ってて、自分の中で気に入ってるやつとそうでもないやつがあるんですよねー。

というわけで、いま家にある在庫の中でブックカバー選手権を行いたいと思います。出場選手はこちら。

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うん、なんか偏ってますね。パッと思い付くだけで三省堂紀伊国屋丸善啓文堂有隣堂、リブロなんかもない。

 

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①蔦屋書店

TSUTAYAではなく蔦屋書店の方ですね。最近こっちVerの店舗増えましたね。

のっけからなんですが、優勝候補。かなりハリのある紙で手汗にも比較的強い。デザインも良くて使用頻度が高いカバーです。さすが、儲かってはりそうですからね。

欠点としては、手汗でふやけはしないですが白いので黄ばみヨゴレが目立ちます。

デザイン:★★★★★

耐手汗:★★★★

耐汚れ:★★

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ブックファースト

ちょっと野暮ったいですよね。店舗のクリーンなイメージからするともうちょっとデザイン頑張ってもいいのでは。紙質としては薄くてやわいわりには丈夫な印象があります。使い勝手はいい。

デザイン:★

耐手汗:★★★

耐汚れ:★★★

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くまざわ書店

先の2つとは異なりザラザラ系の紙質です。これはですね、ふやけます。ふやけますが、なんかもったいなくない感じがある。昔からのザ・紙ブックカバーという感じで気軽に使えますね。乾燥したパリパリという感触も風情があってよいです。デザインとしては、個人的にはこういう古風なタイプもアリ。

デザイン:★★

耐手汗:★★

耐汚れ:★★

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④ときわ書房

すみません、地元書店です。千葉県の。サラサラとした紙で薄いですがハリはあります。なんとなくシャキっとした感じに折り目も付くのでいい感じです。ただし、朱色の印刷が折れ目のところに来るので、ふやけて毛羽立つと目立ちますね。

デザイン:★★★

耐手汗:★

耐汚れ:★★

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八重洲ブックセンター

個性がすごい。あとよーく見ると背景画像のつなぎ方がダサいんですが、ここまで振り切れてるとありなんじゃないかなって気がしますね。結構つるっとした紙質。触り心地は案外良いです。

デザイン:★★★

耐手汗:★★★

耐汚れ:★★★★

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ジュンク堂

これは正直なところドンケツですね。デザインもパッとしないし、印刷の品質も疑問。紙質も一見丈夫そうなんだけど、なんか汚れを拾ってくるんですよねー。ジュンク堂なんだから、こういうところにも目を配って欲しいですね。

デザイン:★

耐手汗:★★

耐汚れ:★

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MARUZENジュンク堂

さすが丸善さん、ナイスフォローです。文具を扱っていることもあってかこだわりが感じられますね。紙で勝負。控えめだけど気の利いた印刷。手汗に強いというほどではないんですが、必要十分な性能でツルツルすぎずザラザラ過ぎない心地よい手触りを意識していると思います。

デザイン:★★★★

耐手汗:★★★★

耐汚れ:★★★

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東京堂書店

神保町にある書店です。ほかにも数店舗できたようです。なかなかの雰囲気を醸し出しているお店なんですが、ブックカバーも洒落てます。テカり&なめらかな独特の紙質。ですが、濃色のため折れ目やキズなどがだんだんと白く毛羽立ちかなり目立ちます。あまり再利用できないかもしれませんね。

デザイン:★★★★★

耐手汗:★

耐汚れ:★★★

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⑨ブックスルーエ

最後は吉祥寺の書店。キンシオタニさんの個性的な絵が全面に印刷されています。紙質はかなりゴリゴリでザラザラのクラフト紙。毛羽立ちますし印刷も手汗でかすれるのですが、なんというかここまでオリジナリティを押し出していくっていうのがブックカバーの可能性を期待させてくれる一品かなと思います。書下ろしってもっと流行ってもおかしくないですよね。

デザイン:★★★★★

耐手汗:★

耐汚れ:★

 

以上、9つの書店のブックカバーを比較しましたが、栄えある第1位は・・・

MARUZENジュンク堂 にします!

ポイントとしては、「ちょうどいい感じ」ですかね。飾らないけどこだわってる。

候補にはないですけど、丸善のブックカバーも新しいやつ良い感じですよね。でももっと大胆な感じでやっぱり⑦がいいなあ。古い丸善のカバーはいびつな日本地図のやつですけど、あれはかなり汚れるイメージありましたね。時代が感じられるデザインではあったけど、新しい方が好きかな。

候補外でいうとリブロも意外と好きですね。繰り返しパターンが包装紙っぽさがあってなんとなく雰囲気がある。かっこいいので言うとbook expressもいいと思います。

以上、紙ブックカバー選手権、閉会します。お疲れさまでした。

ベネチア

ヴェネツィアヴェネチアベネツィアベネチアヴェニス、ベニス…

ヴェとツィは脳内で発音しにくいのでベネチアにします。

 

空港からは水上バスで移動しました。本島まで1時間くらい。

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船のガソリンスタンド。

初日の夕食はリモンチェッロに伝票を挟んでくる粋な店。

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レモンピールの甘いリキュール。約30度。

飛行機でネックピロー担ぎ続けたのが原因じゃないかと思うんだけど、ハチャメチャに痛かった肩がこれを1杯半グイっとあおって寝たら治りました。ラッキー。

ベネチアはかなり治安がいいと感じました。怪しい人ほとんどいない。

こんな暗い道もへいちゃら。

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ベネチアっぽい写真なんか照れるので焦らします。

翌日は足を延ばしてブラーノ島へ。これまた水上バスで本島から1時間。

レース編み産業の島で、家々がカラフルなことでも有名。

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1軒1軒が絵になるんだこれが。玄関と窓のようわからん布もおしゃれ。

センスがない人はどうやって生きていくんだろう。幼少時から叩き込まれるのだろうか。同調圧力つらくないだろうか(すごすぎて邪推)。

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ブラーノ島では比較的地味な方の風景。

 

お次はムラーノ島へ。

ブラーノ島から30分くらいですかね。本島との中間地点。大きい島です。

ベネチアングラスで有名な島ですが、本島より観光客少なくてのんびりできてよかった。お昼ここで食べてもよかったですね。おいしそうなトラットリアも見かけた。

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かなり暑かったのでジェラートでひとやすみ。レモン。リモーネ。

ガラス買うつもりなかったんだけど、裏通りから攻めたところYalos Murano Glassという気の利いたお店があったのでショットグラスを買いました。

伝統工芸品感のある店か高級なオブジェを売る店が多い中、ここはカジュアルでスタイリッシュな感じでよかったです。でもガラスの透明度は低かったかな。そういう趣向?

 

しかしジャパニメーションはすごいですね。世界の子供たちをグッと掴んでおります。

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PIKACHU

ピカチュウは少女に人気。写真の子の他にもぬいぐるみ抱いてる子を見かけた。

この子の弟はスマホポケモンGOに夢中。この子のお姉ちゃんのスマホ壁紙はアイマス。アニメだけならまだしもアイドル文化まで理解するYOUは間違いなくFUJOSHI

ちなみにこの家族は船で見かけたんだけど、到着間際に現れたお父さんはティアドロップ型サングラスをかけたブルース・ウィリスばりのワイルド親父だったので衝撃でしたね。何人たりとも二次元は止められない。

まあドバイ空港でワンパンマンを見かけた時点でもうジャパニメーションの世界征服は完了したんだなって感じでしたけどね。

 

さて本島。

人生で一番うまいピザでした。耳が・・・はわわわわわわわわわ

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Ai Garzoti って店ですけどもね。駅に近い方なので地元客が多い。目の前の橋にはこの店のワイングラス片手に席が空くのを待つ人たち。

チーズのコクがまた、日本でいうコクとも違ってダシじゃないんだよね。味の要素に分解できないまとまり感、まろやかさ。たまらんね。

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オレンジ色のきれいなカクテルが大流行してます。アペロールというオレンジリキュールを使ったスプリッツ(白ワイン+炭酸)だそうです。カンパリほどじゃないけど、爽やかなハーブ感があってもう夏にぴったりすぎ。ビール、スプリッツ、ワインの選択肢で毎食悩みます。

 

ベネチアが観光地としてものすごく徹底しているのが景観。どこまで行ってもレンガ塀のあの風景なんだね。これはすごく大変なことで、お店の商品の搬入も全部運河から運んできて手で荷下ろしして、橋の階段を乗り越えてこなしてる。

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例えば重機も陸上に設置することはなくて、いわば重機船と呼べる船が活躍する。

 

もひとつおすすめのトラットリアが Cantina Do Spade です。

こちらはリアルト橋からまっすぐ北西、つきあたりを左に曲がって2つ目の角を右に曲がるとあります。店内に飾ってある絵がヘタウマでよい。

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ビビッと来たのはこのボンゴレ。2.0mmくらいありそうなスパゲティーニ。

見るからに家庭的な雰囲気の店で、内装はちょっと吉祥寺っぽい。比べるなって?でも僕の心のふるさとなので。通いたい店ですね。通えないけど。

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イカしたあんちゃん

ところでイタリアといえばファッション。という人もいる。

日本人は基本的に普段着がおしゃれだという話だけど、靴は残念みたいに書かれてたりする。気がする。ということでイタリア人の靴をウォッチしまくってたんだけど、別にそんな大差があるわけじゃないというのが感想。
まあベネチアだから観光客ばっかりで、ヒールなんか歩きづら過ぎるから少ないけど。でも見かけるのは9割くらいスニーカーだし、地元民っぽい人はみんなサンダルだ。

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あーやっと来たベネチア風景。路地だけど。

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エビやイカの料理が多い。イカスミパスタもう1食くらい食べたかったな。

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こういうアメリカでいうデリみたいな店も多い。1日5食食えたらなあ。

 

ベネチアで2番目に有名な橋がアカデミア橋だそうです。

7月のイタリアは日没が20時台で、21時頃までは明るいのです。

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この景色、実は小学生か中学生の頃、通ってたアトリエで描いたことがある・・・

そのままブラブラと南に歩いていくと、素晴らしい景色が待っていました。

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対岸の水際すれすれ一直線に並ぶ建物ひとつひとつに灯る明かり。

Fodamenta Zattere al Ponte Longo という通りです。

どうなんでしょう、有名なのかどうかわかりませんが、何とも言えない郷愁を誘う雰囲気です。有体に言って絶好のイチャコラスポットです。カップルで訪れたらこのあと滅茶苦茶捗ると思います。この辺に泊まったらいいんじゃないだろうか。何を言っているのか。

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もう完全に映画だよ・・・

 

さて、旅の締めくくりはサンマルコ広場の鐘楼から。

ここ最後に行くのオススメします。この街を旅したんだなあと感慨もひとしお。

昼間は並んでるけど、朝はほとんど並びません。

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ドゥカーレ宮殿とかも行ったんだけど、なんちゅーか建物や史跡よりも、ただ街を歩いて景色を眺めて飯を食って酒を飲むのがなにより楽しかった。旅して滞在している感じがとにかく心地いい。

 

最後に大切なことを書き記したいと思います。この旅を通じて本当に心の底から実感したことです。

それは金が欲しいなあ~~~ということです。

そして時間も欲しいなあ~~~とも思いました。おわり。

『メイスン&ディクスン』の膨大な目次

466/542頁くらいまで読んでやっとノリが分かってきた。いやいやくたびれた。最後の守護鴨は笑った。

 

トマス・ピンチョン。アメリカの覆面小説家で、現代最高の作家との呼び声も高い謎の人物。その作品は長大で難解とされることが多く、挫折する人も多い。

野暮な話、「ピンチョン読んでます」と言いたいがためにトライするよね。

実際読んでみて、まあ頭に入ってこないというか、この作品に関しては訳文が時代掛かった古い言い回しが多くて読みづらい。亜米利加とか、費府(フィラデルフィア)とかカタカナ語を漢字で書く。なぜって、原文が18世紀の英語(風)で書かれているから。なぜこの長大な物語をあえて・・・!!

 

全体の構成としては、のちにアメリカの南部と北部を分けることになる線を引くことになるメイスンとディクスンの冒険譚、あるいは珍道中。この軌跡に立ち会ったチェリコーク牧師の回顧録という語りの形をとる。

下巻に突入したところでやっぱり上巻を見直そうと思って、読み返しながらメモを取っていきました。

で、読み返してみると2回目は割と読める。笑いどころも分かってくる。途中で出てくる「亜米利加道中膝栗毛」なるジョーク(原文はどうなってるんだ?)、まさにそのノリ。メイスンの憂鬱症とディクスンの軽さと余計な言動が可笑しくなってくる。小難しい翻訳文かと思ったら、案外悪乗りパートが多いぞと気付く。

 

そのメモをせっかくなのでブログに載せようと思います。あんまりこういう記事を見て参考にしながら読むことはないと思うけど、あれなんだったっけという検索に引っかかって思い出すきっかけになったりしたらいいですね。僕は早くすべての本の中身にCtrl+Fができる時代が来てほしいです。

形式としては、番号が振られている各章にタイトルをつけて、簡単なあらすじまたはキーワードを抜き出します。上下巻で78章。ざっくりした目次のようなものになる・・・つもりだったのですが、1万字オーバーになったので通して読むと20分くらいかかりますね。なんじゃこりゃ。

ちなみに、僕も全然ちゃんと読めてるわけじゃないのでミスリードというか誤読している部分は多々あるかと思います。実は Thomas Pynchon Wiki | Mason & Dixon という超優秀なピンチョンWikiがありまして、メイスン&ディクスンの章ごとの注釈が書かれているのですが、英語が読めない!ので十分役立てられず、大きく見劣りする自前のメモで我慢する次第です。

上下巻本編1,094ページ、少なめに見積もっても50万文字以上。前述のとおり上巻を読み直したり途中しばらく間が空いたりもして、かれこれ10カ月程かけて読み終えました。最後にはしんみりしちゃったなあ。人生初の大河的読書ですね。新聞なんかの連載小説を読むのってこんな感じかしら。

以下、[続きを読む]から膨大な目次スタートです。

 

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ゴミ箱にかける袋を内側に隠すやつを自作する

めっちゃどうでもええねんけど。

ゴミ箱にスーパーの袋かけますよね。それがみっともないだのなんだので内側に隠せるゴミ箱とか最近出てるじゃないですか。上からカバー被せるタイプとか、中に一回り小さいゴミ箱入ってて穴の開いた蓋を置くタイプとか。

一応小型のゴミ箱ではそういうの使ってるんですけど、少し取り回しがしづらいというか、上の方持つとすっぽ抜けるし、袋の設置が若干面倒だし、口が狭くて丸めたティッシュ命中させづらいし、あと一番は値段が高いし。

ということで、フツーのゴミ箱でもなんか自作できそうだなという事でやってみた。

使用したゴミ箱はこれ。上の方に溝があるのでこれが使えそうだなと。

そして購入資材はこれ。東急ハンズで塩ビチューブとワイヤーを購入。

ワイヤーはこれはアルミ線かな、の塩ビ被覆のやつです。まあまあ柔らかいので。

太めのワイヤー意外と切れないペンチ多いからね。柔らかいけど直径2mmあります。

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要は、これでわっかを作ってスーパーの袋かけようという事です。

ゴミ箱はφ225mmなので、これよりやや小さいわっかを作ります。溝の部分がφ210mmくらいとして、円周は約660mm…ワイヤーを結ぶ分が必要なので…とやって適当に700mmくらいにカットしたんだったかな。

チューブは素直に660mm…ではなく、ワイヤー結ぶところは開けておくので640mmくらい。で、チューブにワイヤーを通し結ぶとこうなります。

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わっかの大きさと塩ビチューブの摩擦とゴミ箱の溝でうまいこと止めておこうという仕組みです。チューブもワイヤーもちょっと長かったんですけど、めんどくさいんでわっかを多少歪めつつもそのままGOしちゃうことにしました。

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ゴミ袋をかけた姿です。

思いのほかしっかりと固定されています。

ただ・・・

そんなにゴミ袋隠れてる感ないですね。上にもしゃもしゃ~となってないだけ良いのかもしれませんが、少なくともおしゃれ感は感じませんでした!まじかー

なんかこう、袋自体が紙袋とかね、フランスパンとかオレンジを詰めてて、坂道でオレンジごろごろ落としちゃってイケメンと出会っちゃう用の紙袋とかならこんなわっか付けなくても様になる気がするんですけどね、あいにくオレンジ転がす趣味がないもんで・・・

基本的に液体のついたゴミとかはキッチンの蓋つきゴミ箱に捨ててるんですが、シールとかコロコロのはがしたやつとかやっぱ内袋は必要ですからねえ。見た目は割り切って使うしかないですね。