台南旅行(2025)2日目

碗粿、サバヒー団子スープ、グアバ

碗粿(ワーグイ)は肉と米粉でできていて、餅と茶碗蒸しの中間くらいの料理。豚肉のコラーゲンによるプルプル感もある。写真で見ても小さなお椀に入っているが、これがなかなか食べ応えがある。甘辛いたれとチリソース、更に檸檬汁をかけて食べるが、なんともいえないモッタリ感が実に飽きの来る味でローカルフードみがすごい。色は濃いけど味は薄めで、米粉の単調さとか豚の脂を感じやすいのかな。

サバヒーという魚がいて、日本では見かけないが東南アジアでは超ポピュラーな白身魚である。サバヒー団子は弾力があってつみれというよりはかまぼこに近い食感。生姜の効いたとろみのあるスープが朝食に相応しい味わい。

そしてデザートのグアバがよかった。というのも、台湾・フルーツといってイメージするような鮮烈な甘さなどは一切なく、味のないラフランスに近い歯応えを感じながらほんのり染み出る程度の甘味が妙に後を引く新しいフルーツ体験だった。いや、むしろ古いフルーツ感なのだろうが、甘さ至上主義が跋扈する日本のフルーツ界隈に倦んでいた者としては価値ある体験だった。

台南市美術館一館

原台南警察署だった建物らしい。

一館は比較的古い時代の美術品が多い。全体的に絵の具の乗りが重たく線が力強い。タヒチに渡り才能を爆発させたゴーギャンがそうだったように、どの作家の作品からも南国のフルーツのような雰囲気を感じるのは南の湿度と暖かい風がそうさせるのだろうか。
一方で、ベースとなる画法はもちろん東アジアの文化圏にある。毛筆画の中に南国の植物、とりわけ濃い緑の葉が描かれているとこの土地ならではの雰囲気が感じられて良かった。

台南市美術館一館の中庭

大きなガジュマルがあっていい雰囲気なのだけど、風が吹く度にその実がバチバチ落ちてきて木1本でさえ自然ちゅうのは手に負えないもんやなあと思う。

警察署の建物の裏手は屋内に取り込まれている

この形式は丸の内の静嘉堂文庫美術館と同じ方法だ。

屋内で古い外壁を間近に見ると撮影のセットみたいに見えてくる。

永記虱目魚丸:魯肉飯と魚皮湯

昼食は魯肉飯と魚の皮のスープ。案外、魯肉飯にパクチーを入れる店をほとんど見ないがこの店は魯肉より先に飯に散らしてしんなりさせている。注文時に入れて良いか聞かれるので断ることもできる。魯肉飯は家でしょっちゅう作っているので慣れた食事として何ら分析をせずに食べ進めてしまった。

皮のスープは恐る恐る頼んでみたけれど、ほとんど臭みはなく(生臭くないだけで魚の香りはする)思いの外肉感があり食べ応えがあった。かといって噛みきれないような食感ではなく、歯を立てれば皮ごとほろほろと崩れる。

Googleマップの口コミでは魚の肚(モツ)と半々という注文をしている人がいたが、言葉ができないので諦めた。

台南市美術館二館

なぜか正面の写真を撮ってなかった。日本人の設計になる建物らしい。

外側の段々はこの日は特に何もなく行き止まりも多い上に暑かったので登るだけ徒労ではあったのだけど、これが活かされるイベントとかもあるんだろうか。

中は中央が吹き抜けになっていて箱型の展示室が各階の窓側に配置されている作り。展示室Aを出ると展示室Bの入口が見えるので順番にぐるぐる登っていく形になる。

この時期は台湾の近現代の美術史を古い時代から順に追う内容で旅行者にピッタリの内容だった。

特に現代美術は歴史的な美術の歩みから順当に発展させた形の作品が多くてすごく受け取りやすかった。たくさん写真を撮ったけど、どちらかというと記憶のための記録なのでここには貼らずに置く。

ビンロウ吐き捨て禁止

真新しい美術館に古の文化の名残り。伝統の域を超え数千年の歴史を持つ合法ドラッグ、ないし噛みたばこ。普通に発がん性があり当たり前に地域の人々の寿命にも影響している。しかし台南の街中でも檳榔屋は少ししか見かけなかった。いよいよ廃れつつある文化なのだろうか。

福記肉圓2店:肉圓

バーワン初めて食べたけど、千と千尋のお父さんが食べてたのはやっぱりコレじゃないと思うんだけどな。あんなジューシーな感じじゃなくて、もっちゃりモソモソ食感。ソースは中華風味ケチャップって感じで意外にジャンキーな味だ。

何気に一緒に出てきたスープがうまかった。台湾でよくある刻みセロリ少しと胡椒が効いたスープ大好きなんだよな。セロリは薬味でありスパイスでもあることが発見できる。

 

夜、満を持してジャズバーに挑むも、「19-21 Student Event」の文字。これは入れないな。てか台湾もミリタリータイムなんだ。

府城牛肉湯:牛肉湯と牛肉肉燥飯

牛肉が赤いのは、生の牛肉スライスにスープをかけて供する料理だからで、つまり火の通り加減は絶妙()だ。新鮮らしいぞ。しかしこれがウマい。なんだろうな、香ばしさと脂を味わう焼肉とも違うし、かといってローストビーフのやわらかさと香りを楽しむのとも違う。真に牛肉の旨味を味わえるのはこの食べ方なんじゃないかと思わせるパンチがある。この店は遅い時間までやっているらしく、バーで飲んでからシメに来ようと思っていたんだが、結果的に腹いせに来ることになったが大満足だ。

牛肉肉燥飯はつまるところ牛肉の魯肉飯だ。牛の脂の方がやわくてドロッとするし甘くてコッテリ飯になる。ふつうの魯肉飯以上に小盛で丁度いい味だった。