ゴミ箱にかける袋を内側に隠すやつを自作する

めっちゃどうでもええねんけど。

ゴミ箱にスーパーの袋かけますよね。それがみっともないだのなんだので内側に隠せるゴミ箱とか最近出てるじゃないですか。上からカバー被せるタイプとか、中に一回り小さいゴミ箱入ってて穴の開いた蓋を置くタイプとか。

一応小型のゴミ箱ではそういうの使ってるんですけど、少し取り回しがしづらいというか、上の方持つとすっぽ抜けるし、袋の設置が若干面倒だし、口が狭くて丸めたティッシュ命中させづらいし、あと一番は値段が高いし。

ということで、フツーのゴミ箱でもなんか自作できそうだなという事でやってみた。

使用したゴミ箱はこれ。上の方に溝があるのでこれが使えそうだなと。

そして購入資材はこれ。東急ハンズで塩ビチューブとワイヤーを購入。

ワイヤーはこれはアルミ線かな、の塩ビ被覆のやつです。まあまあ柔らかいので。

太めのワイヤー意外と切れないペンチ多いからね。柔らかいけど直径2mmあります。

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要は、これでわっかを作ってスーパーの袋かけようという事です。

ゴミ箱はφ225mmなので、これよりやや小さいわっかを作ります。溝の部分がφ210mmくらいとして、円周は約660mm…ワイヤーを結ぶ分が必要なので…とやって適当に700mmくらいにカットしたんだったかな。

チューブは素直に660mm…ではなく、ワイヤー結ぶところは開けておくので640mmくらい。で、チューブにワイヤーを通し結ぶとこうなります。

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わっかの大きさと塩ビチューブの摩擦とゴミ箱の溝でうまいこと止めておこうという仕組みです。チューブもワイヤーもちょっと長かったんですけど、めんどくさいんでわっかを多少歪めつつもそのままGOしちゃうことにしました。

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ゴミ袋をかけた姿です。

思いのほかしっかりと固定されています。

ただ・・・

そんなにゴミ袋隠れてる感ないですね。上にもしゃもしゃ~となってないだけ良いのかもしれませんが、少なくともおしゃれ感は感じませんでした!まじかー

なんかこう、袋自体が紙袋とかね、フランスパンとかオレンジを詰めてて、坂道でオレンジごろごろ落としちゃってイケメンと出会っちゃう用の紙袋とかならこんなわっか付けなくても様になる気がするんですけどね、あいにくオレンジ転がす趣味がないもんで・・・

基本的に液体のついたゴミとかはキッチンの蓋つきゴミ箱に捨ててるんですが、シールとかコロコロのはがしたやつとかやっぱ内袋は必要ですからねえ。見た目は割り切って使うしかないですね。

サインペン

サインペンが楽しいです。イチオシは三菱鉛筆のリブ。

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写真すいません、ぜんぶ適当だけど特にPILOTの“SUPER”めっちゃぎこちなくなっちゃった。

似たようなサインペンだけど、それぞれ特徴があるのです。

ぺんてる サインペン

超王道。1本1本袋に入って売ってます。サインのために使われてるサインペンだ。

ペン先がしっかりしてます。わずかにチューリップ型になってて、文字を書くときにカドを作れるから味のある字になるんじゃないかな。

インクは黒い。書き味はちょっとガサガサしてるけど、書きごたえがあるとも言える。

②PILOT スーパープチ<中>

形はぺんてる、ロゴは三菱鉛筆リブと似ている。いやどっちが先か知らないけど。

インクがややグレーですね。書き味はカサカサくらい。あまり筆圧強くない方がいい。

ほんのわずかにインクが粘るので、「い」とか「ゆ」がいい感じになるかも。

三菱鉛筆 サインペン リブ

毛筆タッチと言いながらほとんど毛筆ぽくない。

一番お上品な形とロゴデザインな気がします。まるっこくてかわいらしい。

なんといってもその書き味がおすすめ。さらさら、すらすら。つっかかりません。

そして、インクがきれいな黒でムラがない。曲線を描くのに良いと思います。

 

僕はイラスト用に買って、なかなか気に入ったのです。他にもハガキや郵便物の宛て名書きにもおすすめ。ボールペンよりしっかりした太さで、油性ペンみたいなにじみやインクだまりもないです。

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これは酉年の年賀状用にリブで描きました。影はサクラクレパスのピグマ01ですけど。

ちなみにスケッチブックはマルマンのクロッキー(クリーム)。簀目があって薄いけどインクのにじみがないいい紙です。あまり分厚い画用紙はなんかとっつきにくいしもし破って捨てる時も抵抗感があるからね。気楽に描けてよいです。ほんとは鉛筆とかコンテに向いてる紙と思うけども。

 

たまには絵を描きたいものですね。やっぱり楽しい。

2016年の読書と『この世界の片隅に』

※引用記事はかなりクリティカルなネタバレあり。この記事も少々ネタバレあります。

 

ほんと本やら映画やらは思わぬところで繋がってくるもんですね。
去年、古事記を読んだこと、参考に読んだ漫画『ぼおるぺん古事記』がこうの史代さんの作品ということ。
その後、こうの史代原作の『この世界の片隅に』のことを映画公開日に知ったこと。

 

 ひとつこの映画の考察記事をご紹介します。

magazine.manba.co.jp

(以下引用)

この光景に重ねられた「この国から正義が飛び去ってゆく」ということばは、あたかも「アキツシマ=トンボの国=日本」から「アキツ=トンボ」が飛び去って行くことと呼応するかのようだ。

 

古事記では日本の雅号(褒め称える異名)として「秋津洲(アキツシマ)」というのが出てくる。
この秋津っていうのはトンボって意味で、日本列島の形を示しているのか、昔の日本はとにかくトンボが沢山いたのか、実際に日本は湿地が多くて豊かな水源があって、トンボは豊穣のしるしとして用いられたのかもしれない。

ちなみに日本の別の異名として「葦原の中つ国」というのもあって、これは神の住む高天原や死者の住む黄泉の国と人の世を区別する表現なんだけど、現世はやたらと葦が生えている土地だと。そういう表現。
葦が群生する湿地帯というのはトンボも多いだろうし、かなりビジュアル的に納得できると思うんですよね。
また、葦が群生というのは人間を示してもいるらしい。神/人間/死者という区別に対応してるんだけど、ちょっとこれはパスカルの「考える葦」を思い出しちゃいますよね。
パスカルは17世紀フランスの人物、古事記は8世紀に日本で編纂されたわけですからロマン溢れますね。両者同じく、葦をひょろっとしてて頼りない弱いもの、それでも群がって強く広く繁栄するものと認識しているはずです。

 

古事記に書かれている神々の勢力争いは実際にあった氏族同士の戦いを表したものとする説もあり、もしそうだとしたら、当時の日本の中枢だった近畿地方がまさにその争いの場であった可能性が高いです。
ちょうど去年は『村上海賊の娘』を読んだのだけど、戦国時代の近畿地方もまた葦原が広がる大湿原だったという描写がある。そういう意味で、『この世界の片隅に』で描かれる干潟や、広島のデルタは西日本地域の土地の歴史を思い起こさせる。

ちなみに聖徳太子の時代を描いた『大和燃ゆ』シリーズも去年読んだのですが、当然西日本が主な舞台で、瀬戸内海を遣隋使、遣唐使の船が幾度も行き来する情景も重なってきました。

 

こうしてエンタメ的な『村上海賊の娘』から『古事記』勉強、そして古代史勉強を経て改めて歴史ロマン『大和燃ゆ』を楽しみ『この世界の片隅に』の昭和へとジャンプしたところで2016年の個人的西日本ブームが収束したわけです。

 

もともと歴史では人類史や縄文時代みたいなうんと古い時代が好きだったんですが、古事記や大和燃ゆに触れて弥生時代古墳時代以降の豊かさにもやっと気づくことが出来ました。
これが思わぬつながりで昭和にタイムスリップしたいま、わたくし個人的な3大興味ない時代(古墳・戦国・昭和)のひとつであった昭和についても興味が出てきてしまった次第であります。
そして、私の手元には友人から貰った「昭和史」の本が。

2017年に続く・・・


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なんとかまとめに漕ぎつけたところ大変不格好なのですが、
冒頭でご紹介した記事でもうひとつ、ビビっと来た点が。

孤児の母親の耳からドサリとわき出すウジ虫に、虫の営みを感じるのは高等テクニックすぎません??
最初は急いで飛ばしてしまったことなど非常に正直に書かれているのを読んで、自分を振り返って、作品を鑑賞するとき色々と逃げていること、無意識に見なかったことにしようとしていることがたくさんあるんだなと気付きました。が、ウジはさすがに逃げたくなるじゃん・・・

連れ帰ってきた子からわくシラミと痒みを感じる北条家の人々というのは目から鱗でした。というか自分がずっと欲していた「痒みの表現」を見落としてたというのが、悔しいな~。絶対にウジの件でビビってましたね自分。あの子に対して。
映画とか小説とかで、例えばブーツに水が入って足が痒いとか、肌に触れる木綿がチクチクするとか、そういう事を表現するのはものすごく難しいしほとんど見たことがないなあと思っていたんだけど、それがあった。
特に、シラミの飛び方がほんとに緻密に描かれていて、あのハネ方とあの音の痒そうさといったらない。
この映画は「日々の生活をリアルに感じさせる」という感想が多いけど、そのリアルを浮かび上がらせる芸の細かさときたら呆れるほどの丁寧さですよね。

恐ろしい描写の背景にこそ、強い思いや意思が描かれていると考えるべきですね。
それを無理やり直視することだけが正しいわけじゃないですけど、余裕があるのならそういう事まで汲み取れるような見方を身に付けたいなと、単純に憧れました。

 

映画レビュー:この世界の片隅に

konosekai.jp

言葉にならない

なのにブログに書くんかいなっちゅーね。

Twitterで感想が書けないことで話題のアニメ映画、『この世界の片隅に』です。

舞台は第二次世界大戦さなかの広島県呉市・・・「あっ、戦争モノかぁ・・・」と思った方待ってください、頼むから待ってください。ちがうんです。お願いですから・・・

火垂るの墓で一生の心の傷を負った御仁は多いことと思います(貶してません、影響力の大きさです)。また子供の頃からの教育と、いかにも感動をテーマにした反戦映画の数々に我々日本人は万年食傷気味であることは僕も身をもって実感しております。

それらの多くが戦争の悲惨さをクローズアップし、切り取り、目を背けたくなる事実を強引にでも記憶させる意図を持ったものであったし、テレビドラマや大衆映画としてはある程度商業的な判断が必要でもありました。

しかし、本作はちがう。前述のとおり、散々戦争の悲惨な場面を切り取った映像を見続けてきたはずなのに、ふわっとした絵柄で日常の愛しさに溢れるこの映画を見てやっと、当時生きた個人個人にとって、戦争、空襲、そして戦時下の生活がどういうものだったかを初めて実感することができたんです。悲劇だけを切り取った映画ではなく、大部分が暖かい生活の描写であったからこそ、私たちの生活と繋げて受け止めることができたんです。

なので、全くもって泣かせに来たりしません!結果的に泣くだけです!断じて「泣ける」映画じゃないです!そういうのやめてください!

 

公開5日目現在、ネット上は絶賛の嵐で人によってはTLがすごいことになってしまい、同調圧力めいたものを感じて引いてしまってる人がいるように見受けられます。

わかる。あんまりみんながすごいすごい言ってると斜に構える。

ただ、最近ときどき起こるこういう事態って、SNSが出来て初めて可視化された現象ですよね。その性質も相まって集団のベクトルが増幅されてしまう事もあり、あまり見慣れないコミュニティの大きなうねりに不安を覚えるのかもしれません。

それでも、そういう状況を超えてなんとか劇場にたどり着いてほしい。

 

◆なぜ言葉にならないのか

映画を見ていただければ実感としてわかるんですが、映画宣伝の常套句みたいなものが何一つしっくりこないんですよ。「泣ける」違います。「よかった」浅い。「面白かった」エンタメではない。「クスリとした」したけど全体を表してない。「ためになった」なるけど記録映画じゃない。「考えさせられた」考えるというより感じる。

最後の「感じる」が近いと思うんですが、見終わった後は不思議な感情そのもの、感情の生データしかないわけです。だからみんなこぞって「見てください」と言うんです。映画好きはみな、それなりの格好いい言葉でオススメしようと思ってたのに、何も言えなくてもどかしさに泡吹きながら「みて・・・」とだけ呟きます。

 

◆緻密さ

映画で描かれる広島市や呉の町並みは、入念に実在の建物と人々を調査して描かれたものという事です。そして呉に配置された戦艦や空襲の日の天気まで、徹底的に反映させる。これが圧倒的リアリティを生む。絵はアニメテイストなのに、実写映画をはるかに上回る実在感がある。

空襲の戦闘機の音、砲弾の破片が瓦や生活用品を鋭く破壊する描写、防空壕で聞く爆撃音、これらの恐怖感はちょっと他の創作物で体験したことがない。

映画館の音響に左右される部分もあるせよ、防空壕のシーンは本当に映画館のすぐそばに着弾したような振動が全身に響くし、砲弾の破片の鋭さは鋭利な刃物を目の前にしたかのように明らかな殺傷能力を感じて身がすくむ。

また、スズメや野鳥のさえずりが聞こえる長閑な日を突然空襲が襲ったりして、映画としては不穏な空気を全く演出していないのに、当たり前の日常に突如戦争が割り込んでくるその現実が一番怖いということがわかる。

これに関しては映画館で体験することにかなり意味がある部分だと思う。

 

◆エロい

すずさんは全然そういうタイプじゃないんですよ。

天然ボケで子供が抜けきってない感じで、キャラクターとしても素朴。

なのに水原のあのシーンはなんだ。

めちゃくちゃ触れたくなる横顔。水原…よく我慢したな、膝枕はして貰ってたけど…

そして夫の周作との微笑ましいシーンも。奥さん色っぽい。なにこれ。

 

◆主演:のんについて

陰謀論はいただけないですね。すぐ物事を何かの怒りに持っていってしまう人が稀にいますが、哀しいです。いったいこの映画のなにを見ていましたかと。

個人的には、しばらく前に映画雑誌のCUTでインタビュー(海月姫だったかな)受けてた時、作品とキャラクターの背景についての考察がびっくりするぐらい鋭かったので、たいしたもんだなあと思った記憶があります。今回もパンフレットで監督がその点を指摘してるし、本人のインタビューでもキレキレです。

しかし圧倒的にコミュ障だとおもうので、芸能界というか社会的に暮らしづらいだろうし、ときたま人を怒らせるだろうなという想像ができるので、なんというか気の毒だけど。

と、そんな性格も相まって、少し抜けてるとことかすずさん役にぴったり。技術的に上手というよりは、憑依とか同化って感じ。もうすずさんはこの声じゃないとダメ。

 

「生きるっていうことだけで涙がぼろぼろあふれてくる」

彼女が試写会で発した言葉だそうですが、ただ一人この作品を一言で表すことができたというのが凄い。

 

以上、なんだかやっぱり上手くまとめられなかったけど、とにかくこの感情をアウトプットしたかったので3日間悶々とぐるぐるぐるぐる考えたことを吐き出しました。結果的にネット上の意見をなぞってるだけっぽいけど。

とにかく伝えたいのはただ一つ、この映画を、観てください!おねがい

 

 

iPhone7 特記事項なし

iPhone7買いました。

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今までに4、5、6を買ってるので律儀にきっちり2年おき。最近はバックアップのおかげで復元しちゃえばあまり変化がないから興奮もないです。

スペック的にも谷間の機種になりそうですね。来年は7Sではなく8になるという観測もあるし、VRとかもう一歩進んだアップデートになるかもって話ですね。有機ELはなんだか技術的に足踏みしてる感があってどうなるのか微妙だけど。

なので7のトピックとしてはホームボタンの変更とイヤホンジャック廃止くらいかな。

 

ホームボタンは物理ボタンとは全く違うけど、これはこれで面白いなって感じ。Tapticエンジンというのが入ってて、これがクリックっぽい振動を起こすギミック。

どちらかというとiPhone本体の背面の方がが揺れる。片手で持ってるときはクリック感強いけど、机に置いてボタン押したりするとよくわからない事もある。いまのところ実用面で困ったということはないかな。この物理ボタンと微妙に違う違和感が楽しくて無駄にクリックしている。

 

イヤホンジャック廃止に対してはこれを買いました。

エレコムLBT-PAR150BK

3千円前後というのは安いですよね。Amazonは黒が欠品してたのでビックカメラの通販で購入。より安い。

しかもこれ発売結構古いのね。安定して売れてる商品ということでしょうか。いままで使ってたイヤホンが使えるし、断線してもイヤホンだけ買い換えればオーケー。

もともとiPhoneで音楽聴く勢だから音質はこだわってないけど、ライトニング端子でイヤホン接続するよりBluetooth4.0でAAC形式に対応してるこれの方が音質は良いらしいですよ。

そもそものイヤホンジャック廃止についてはなんや不便やなあという思いはある。適当に引っ掴んだイヤホンがそのまま使えるのが一番楽だし。ただAppleとしてはBluetoothを使ったら違う世界があるよっていう提案をしたかったんだろうね。

インタフェースが変わるのって本来ユーザーに負担をかけることだけど、僕の場合はわりとその新体験をコンテンツとして楽しんでる部分があるので今回も乗ってみました。

別にとれたてピチピチの新しい技術ではないけど、いざ使ってみるとワイヤレスってなんかフワフワした新鮮味があって楽しいです。ちょっとしたら慣れてなんでもなくなるだろうけど。

 

あ、もう一個あったな。

以前の記事でDラインをボロクソに批判しましたが、めでたく改善されました。

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ブラックは背面が完全に黒になったのでもうほとんどわかりません。ただ、完全に見えなくして欲しいと思ってたわけじゃないんですよね。ゴールドとかローズゴールドの白いライン処理もグッドだと思います。要はデザインになっているかどうか。“D”ではなくクランクした一本線にしたことで近未来的な雰囲気にもなってると思う。

 

Suicaはな、今PASMOで定期持ってるし、新幹線のEX-ICカードも携帯してるからメリットがなくて。あとなんか・・・あ、今回SIMフリーなんですよ。これからMVMOデビューします。どこにしようかな~。

奈良の旅 其の二

後編はちょっと地味かもしれないですね。なのに増え続ける文字。

 

***橿原***

橿原考古学研究所附属博物館

非常に良い。石器時代から古代が中心というまさに求めていた博物館。

ここはね…とにかく史料が豊富で全く時間が足りませんでした。1日いられるね。次回奈良に来るとしたら飛鳥と纏向があるから、それと合わせてまた来たい。最初の石鏃、石斧からめちゃくちゃ詳しいし、復元模型も研究所ならではの学びの深いもので来る価値がある。

そんな中からひとつ、ちょっと古代の印象を変える模型展示があったので写真でご紹介。

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神憑り的巫女による祭祀風景ですが、この装束はちょっと無味乾燥な古代イメージとは一線を画していてよくないですか??このアングルだとわかりづらいですが、巫女は鳥の頭の被り物をしていて、両腕は鳥の翼を模していて先っちょには鳥の羽をあしらっています。

翼にあたる部分の装束の柄がいいですよね。跪く男女の腰帯と同様に、三角形のギザギザというのは鱗文様でしょうか。魔除けの意味合いがあるとも言われている文様です。なんというか、この大胆な文様があることで当時の情景が一気に鮮やかな印象に変わりました。

この旅行を通じて思うに、古代って結構明るくて軽やかさのある色が多かったかもなって思うんですよね。神社の朱と緑なんてその筆頭で、紅より朱の方がフワッとした印象ありますよね。古都奈良の枕詞はあおによし。まさにその青(=緑青)と丹(=朱)なわけです。古事記日本書紀の物語って意外とパステルカラーが似合いそう。

話は戻りますが、これらの模型展示、現代的なフィギュア造形も相まって非常に躍動感のあるリアルな模型だと思います。より現実のものとしての想像ができるというか。

最近知ったところによると、古代は一般人含め刺青文化もあったということなので、ぜひ刺青のある古代人フィギュアどこかで見たいですね。

 

神武天皇

畝傍御陵前駅からの道を進むと、畝傍山が見えてきます。雨上がりの天気もあって何か神聖な雰囲気があるような。そもそも山々の雄大さこそが信仰を生んだのだとも言えるけどね。

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といいつつ、この神武天皇陵は本当に神武天皇のものかどうかはわかりません。畝傍山の東北山麓という記述を頼りに、江戸時代初期に比定されました。

この話は何段階か説明が必要で、ざっくり言うと

神武天皇じたい実在したのか不明

②中世まで神武天皇陵が認識されていたが、それが正しかったのか不明

③江戸初期に比定した現在の場所はむしろ怪しい

という状態。さらに①については「実在はしたが伝承としての創作を含み、時代や事績どこまでが事実か不明」というように細かく見方も分かれるので、何をもって神武天皇陵とするのかという定義すら曖昧になってくる。

③は幕府の権威高揚という側面があったので、それらしい場所であれば良かったという見方がある。実際、江戸幕府が修繕するまでただの田んぼの中の小さい塚でしかなかったとか。

そして、周囲の鬱蒼とした森も幕末以降になって植樹したものということなので、畝傍山はともかくこの陵墓自体はあとから整えた場所です。

 

橿原神宮

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境内も建物も広々と大きく造られてます。創建は1890年と近代。

神武天皇の宮があったとされる場所。つまり初代皇居ですね。

1940年に紀元2600年祭が行われたりと、まあ色々と政治的な意味合いもあることでしょう。

ただそれだけ天皇家にとって大切な意味合いを持つ場所なので、公式サイトから年中行事までプロモーションの濃度は抜群な気がします。とはいえ多くの神社も創建当初は国家レベルあるいは地域レベルかもしれないけど、政治(まつりごと)に深く関わるものであったはず。これだけ立派なものが立つのは人々の想いの表れでもありますよね。

ちなみに、ここにある「崇敬会館」は名前からしてオッという感じしますが、その見た目も、すごい斬新でかっこいいんだけど、えー、、こういうのいいのかな、新たに興した感のある色んな意味で味わい深い建物なので、個人的には必見ですね。

なにはともあれ立派な拝殿と背後の畝傍山、そして西側には蓮の広がる深田池と緑あふれる良いところです。

 

***斑鳩***

法隆寺

広い!子供の頃来たはずだけど、ぜんぜん覚えてないなあ。

この日はですねえ・・・朝到着してカメラを取り出したら、壊れちゃってたんですよ。かなりさげぽよですよね・・・

(後日、オリンパス修理センターに持ち込み直りました。有料で。)

今回の目玉なんですよ。全編の冒頭で紹介した遥かなる大和シリーズを読んで聖徳太子小野妹子蘇我馬子らの活躍と策謀の舞台である斑鳩にがぜん興味が沸きまして。

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この土塀の連なりや回廊を歩いていると感慨深いものがありますね。彼らはどのような思いでこの場所を歩いたのかと。

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ところで、聖徳太子非実在説というのはわりと有名でふわっとした形で一般にも広まってしまった部分があると思います。ですが、実際のところ、厩戸皇子は実在して法隆寺斑鳩宮を建てたことはほぼ定説となっています。

問題になっているのは、仏教的聖人としての聖徳太子であり、それは太子信仰が後世に興ったことで脚色や誇張が多分に含まれるのではないかというところです。これを前提とすると、聖徳太子について書かれた記録すべてが疑わしいのではないか、となりそもそもすべては創作ではなかったか、というとこまで振り切った説が話題になりました。証拠がなければ証明できないというのはまあその通りなんですが、そこから非実在まで行ってしまうとそれはそれで証明も難しく言いすぎじゃないかなとは思いますね。

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西院伽藍の金堂と五重塔です。

金堂は中に入れるのですが、ここの四天王立像が興味深かったですね。四天王それぞれが邪鬼を踏みつけてはいるんですが、なんというか行儀正しい。一般的なもがき苦しむ邪鬼ではなく、原辰徳もびっくりのグータッチポーズ。持国天像の踏んでる牛顔の邪鬼はなぜか乳首が妙に強調される四つん這いポーズで腹立たしさがひと際輝いていましたね。

境内どこを見ても国宝重文だらけなんですが、大宝蔵院がまたすごい。充実の寺宝展示、有名なところでは玉虫厨子百済観音かな。

このあと、東院伽藍の夢殿も見て、お隣の中宮寺も立ち寄りました。

 

法輪寺

この日はレンタサイクル借りたんです。法隆寺だけならいいんだけど、周囲の寺社をまわるとなると足ではきつい。真夏ならなおさら。それでもタオル首にかけて汗を拭きつつだったけどね。

そしたら斑鳩神社の裏手の道から白線と自転車マークのレーンがあって、辿っていくと自然に法輪寺に着く。山あいを抜けてくサイクリングロード、短いけど気持ちよかったな。ちゃんと近道でアップダウンなく造られてて関心。

中宮寺の真北方向かな、途中斑鳩神社に寄って、丘沿いを進んでものの数分。聖徳太子の子の山背大兄王が建てたとされる寺。三重塔は1975年の再建だけど、法隆寺の2/3スケールで作られてるっていうのがよくわかる伽藍配置。

法輪寺出てすぐのところ、イチヂク農園と直売所があって、一帯がイチヂクの香りがしてすごかったな。ちょっとお香というか、とろんとした甘い香りでなんとなく陶酔的な香りですね。

 

法起寺

法輪寺から法起寺までも自転車道がある。迷わずあんしん。

ここの三重塔は国宝で、706年頃の建立とみられる。なんとなく、腰がしっかり入っているというか安定感のある塔。小さいけど庭もなかなかポテンシャル秘めてる感はあるのだけど、一部の建物が完璧に歪んで壊れてたり、塀の一部が崩れて雑草だらけだったりと管理の限界的なものがありありと見て取れるところが心配になる。お金ないのかなあ・・・

 

慈光院

法起寺からさらに北東へ1.5km、禅寺で茶道推しのお寺。

ここだけ江戸時代の史跡。拝観1000円で必ず付く抹茶と菓子を頂きながら眺める庭もさることながら、一番の目当てにしてきたのが「石州麺」でございます。

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写真がイマイチになっちゃったけど・・・

麺はひやむぎ、というか稲庭うどんのより細いやつって感じ。冷たい麺で、汁はあっさりしためんつゆ系にすりごまを効かせた一杯。いや~~~これうまい!

この日一番目の食事のお客さんになったみたいで、お寺の方々を慌てさせてしまいました。座敷の奥から聞こえるキッチンの音。一方で住職のおじいさんはのほほんとして、「そこの扇風機使ったらいいよ、あっついだろう、座っとけ座っとけ」とめちゃくちゃフレンドリー&フランクでした。自分でコンセントさして年代物の扇風機のスイッチガコっとつけて、座布団で麦茶を飲む時間、プライスレスですね。

 

暑かったけど、時々涼を感じたりもして良い夏休みでした。またもや長くなったな。仮に最後まで読んだ方いらっしゃったら、お疲れ様でした。

 

奈良の旅 其の一

ならです。古代、平らな土地をナラ・ナルと言ったらしい。土地をならす、などに音が残っているとのこと。奈良公園なんかは緩やかな丘という感じで、確かに平ら。

何もこんな猛暑の中…という感じだけど、最近古事記を読んだり、「遥かなる大和」シリーズを読んで飛鳥時代に興味津々となったので現地調査に赴いた次第です。

蘇我アアアアアア!!!となることうけあい。教科書でみた平面的な古代史が、血の通った物語として躍動する楽しさ。
でもこの時代の記録はほとんど蘇我氏没落後に編纂されたものだという事も心に留めておきたい。

といいながら飛鳥地域は今回いかなかったんですけどね。文化財多すぎ。

むか~し子供の頃に行った以来の奈良。その頃は何もわかってなかったのでほとんど初見のつもりです! 

 

***奈良公園***

興福寺

近鉄奈良駅の近く、春日大社に向かう手前にある。藤原氏の氏寺で、藤原鎌足中臣鎌足)と子の不比等にゆかりのあるお寺。

国宝館という資料館がとても充実している。名前の通り国宝だらけ。

阿修羅像はひと際美しいですね。顔立ちはもちろん、まとった裳がオシャレでカッコイイ!フィギュア的に美しい。

乾漆八部衆立像のうち、2体は動物の被り物してるんですよね~ゾウと獅子。とどまるところを知らないフィギュア感。

十二神将像平安時代の板彫りなんですが、見事なまでのジョジョ立ちです。仏像って基本的にジョジョ立ちしがちだと思うんですが(逆か)、これは特にジョジョ立ちですね。

と紹介しても、写真撮影不可でお見せできない・・・Google画像検索のリンク埋め込んでおいたから、みてね。

現在は中金堂の復元中ということもあってサッパリした境内ですが、古代~中世にかけては藤原氏の繁栄に伴ってかなりの権勢をふるっていたようです。

 

春日大社

ニッチなショットを。

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こちらは藤原氏氏神武甕槌命タケミカヅチ)と、経津主命天児屋根命比売神の4柱を祀ってます。

中元万燈籠というライトアップイベント的なのをやってたらしく、昼間も中を暗くした部屋に無数の釣燈籠が浮かぶという企画があり幻想的でした。

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 なんというか、建物とかはそれほど巨大!ってわけじゃないんだけど、敷地がめちゃんこ広いですわ。霊山として崇められてきた三笠山と神社が一体になっている感じ。北に向かい沢を渡ると若草山で、これまた地形の美がある。

 

頭塔

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謎のミステリースポット。いわゆる珍スポットでありオカルト的エネルギーをビンビンに発する外観に思わず自分の中のムー大陸が悠久の時を超え目覚めかけますが、実際はこのような見た目ではなかったようです。

というのも、ところどころに配置された屋根は埋め込まれた石仏を守るためで、当時の復元というわけではないとのこと。実際はぐるりと各段に屋根を巡らして、さながらピラミッド型の五重塔のような見た目だったそうで、まだ現状よりまともかなという気がしますね。なーんだ。

ミャンマー方面でいう「パゴダ」に相当する仏塔ではないかと言われていて、実際Googleマップでは英語でPagodaって書いてあります。(画像検索して)う~ん言われてみれば・・・

隣の敷地のホテル受付で300円を払うと見せてもらえる仕組み。

 

元興寺

がんごうじと読みます。力強い。こちらは蘇我馬子が建立した法興寺がもとになったお寺です。飛鳥から奈良町に引っ越してきた。

資料館の法輪館には国宝の五重小塔があって、天平時代に造られた1/10スケールの精巧な五重塔があります。屋内で保存されてきたから劣化が少なくて、天平時代の五重塔はこれしか残っていないそう。多少色あせているものの、彩色とか当時の様式がよくわかって良いですね。

奈良町は瓦屋根が立ち並ぶ風情のある街並みで、リノベしてレストランとか雑貨屋とかいくつかありましたね。

 

***三輪*** 

そうめん森正

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JR奈良駅近鉄奈良駅が徒歩15分くらい離れていて不便ですね。

元興寺から頑張ってJR奈良駅まで歩きました。桜井線で三輪駅へ。

もうだいぶいい時間になっていたので、大神神社前の有名なそうめん屋さんへ。涼やかできれいな盛り付けですよね~、立ってるだけで汗ポタポタ垂れてくるような猛暑だったので、かなり生き返りました。うまい。

ここで夕飯用に柿の葉寿司も買いました。

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これまたうまい。鯖ですね。春日大社のお酒と合わせてみた。

この炎天下で常温で2日もちます!と自信もって言えるのすごいなあ。お酢と柿の葉の効果が絶大なんでしょうか。それとも防腐剤たっぷり入ってるんでしょうか。

 

大神神社

これでおおみわ神社と読みます。三輪山そのものがご神体で本殿がありません。日本最古の神社で、伝承には事欠かない神社。祭神の大物主大神は蛇神とされていて、神武東征以前の大昔から土着豪族が祀ってきた場所。

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大物主大神はお酒の神でもあって、神の化身である白い蛇が宿る大杉が境内にあるのだけれど、この杉に由来して酒屋や醸造所が杉玉を吊るすようになったとか。

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蛇神だから、卵がお供えされているのが面白い。酒造りの神に対して伏見の月桂冠キャップエースで揃えてくる意味合いがよくわからないけど…

ちなみに森正でお土産にもそうめん買ったけど、名前が「おだまき」。これも大神神社に由来があって、ある夜訪ねてきた若者と恋に落ちた活玉依姫の両親が不審に思って、その若者の衣の裾にこっそり糸を通して素性を調べたところ、その糸が三輪山に向かっていて大物主大神だとわかった、という話。このときおだまき(=糸巻き)に残ったのがたったの三勾(みわ。三巻。)だったのでこの地を三輪と呼んだとか。つまり、その糸と糸巻きをそうめんになぞらえているわけですね。

春日大社同様に境内が広い。平成9年に竣工した祈祷殿も立派ですね、結婚式とかに使うらしいけど、木造銅板葺きで風格がある。

摂社末社がたくさんあって、本当は時間かけて見て回りたいところだったんだけど、わりと過密スケジュールで組んでしまったのでこの辺りで大神神社を後にしました。段違いの歴史を持っているだけあって、古代様式の磐座(岩をご神体として祀る)とか、記紀に登場する神々や豪族の神社とか興味は尽きないんですけどね。

 

 後編に続きます。